このときカーティスと白箐箐は山林にいた。前方から炊煙がゆらゆらと立ち上っており、白箐箐は落ち込んだ様子を一変させ、炊煙の方向を指さして興奮気味に言った。「あそこよ!」
部族に到着すれば助けを求めるチャンスがある。この部族が大きくて、強い獸人がいることを願っていた。
カーティスは白箐箐の心中を見抜いていたが、怖気づくことはなく、さらに速くその方向へ進んでいった。
林を抜けると、起伏のある草原が広がっていた。草原には方形の金色の稲田が点在しており、東に一枚、西に一枚と、それぞれ100平方メートルほどの大きさだった。
一日で最も暑い時間帯だったが、田んぼには黒い角を持つオスの獸人が腰を曲げて草取りをしていた。この小さな田んぼで大汗をかきながら働いていた。
白箐箐は興奮を抑えきれず、熱い視線で彼らを見つめ、助けを求めていた。
オスたちは何かを感じ取ったかのように、一斉に体を起こして白箐箐とカーティスの方を見た。
白箐箐は期待を込めて彼らを見つめた。カーティスの蛇の姿は彼の正体を物語っており、もし彼らに力があれば、すぐにカーティスを追い払うはずだと考えた。
そのオスたちは硬直したように少しの間見つめた後、何事もなかったかのように腰を曲げて作業を続けた。しかし、手足は明らかに言うことを聞かず、激しく震えていた。
白箐箐の心は空っぽになり、全身の力が抜けたようにカーティスの肩に倒れかかった。
「ここに住んでいるのは全て菜食獸人だ。当然、私を恐れている」カーティスは白箐箐に説明しながら、蛇の尾を揺らして部族の内部へと進んでいった。
そういうことか。白箐箐はカーティスの肩にぐったりと横たわりながら考えた。
羊族は獸人の中で最も農業が得意な種族だが、彼らは自分たちのために作物を育てているわけではない。より強い肉食獸人と交換し、彼らから生活に欠かせない塩を得ているのだ。
つまり、これは商業部族であり、毎日肉食獸人がここに来て穀物と交換し、好みのメスを喜ばせるために使うのだ。
カーティスが入ってくると、賑やかだった羊獸族の通りは一瞬にして静まり返った。