Chapter 26 - 第26章 単細胞生物

「……」

一人は大きく一人は小さく、一人は背が高く一人は背が低く、二人は2、3秒ほど見つめ合った後、寺田芽はびっくりして、思わず扉を閉めようとした。

お兄ちゃんが言っていたわ、パパとママが恋に落ちる前に、私たちは正体を明かしてはいけないの。そうしないと養育権争いが始まっちゃうんだから!

しかし男性は手を伸ばして扉を押さえ、驚いて言った。「建吾、どうしてここにいるんだ?」

寺田芽:!!

藤本凜人の顔に暗雲が立ち込めた。

彼はかがんで、寺田芽を抱き上げ、命令した。「一緒に上の階に行くぞ!」

上の階に行ってお兄ちゃんに会ったら、パパに見つかっちゃう!

寺田芽は暴れながら叫んだ。「離して!ママ、助けて!……」

秋田さんが物音を聞いて台所から飛び出してきたときには、藤本凜人が子供を抱えてエレベーターに入る後ろ姿しか見えなかった。

彼女は驚いて、急いで寝室に行き、ぐっすり眠っている寺田凛奈を起こした。「お嬢様、早く起きてください!大変なことになりました!芽ちゃんが藤本さんに連れ去られました!」

寺田凛奈は深く眠っていたが、揺り起こされて目覚めると、瞬時に頭が冴えた。

彼女は起き上がり、着替える暇もなくスリッパを履いてすぐに部屋を出た。

この時、寺田芽はすでに上の階に連れて行かれていた。

総統スイートに入ると、怒った顔のイケメンパパが彼女を書斎に連れて行こうとしているのを見て、彼女は思った。やばい、やばい、やばい!

この間ずっとパパにしっかり抱きしめられていて、お兄ちゃんにメッセージを送ることができなかった。

これで絶対にバレちゃう。

「キーッ」

書斎のドアが開き、藤本凜人は足を止めた。

殴られたり叱られたりするのを防ぐため、寺田芽は機転を利かせて先に謝ることにした。彼女は弱々しく口を開いた。「パパ、ごめんなさい。芽は……」

「わざと隠していたわけじゃないの」という言葉がまだ口から出ていないうちに、彼女は見た――書斎には誰もいない?

一瞬の間をおいて、口に出かかった言葉は「……本当に悪気はなかったの」に変わった。

彼女の大きな目には、疑問がいっぱいだった。

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