竹内北は出て行ってすぐにまた戻ってきて、声を潜めて一橋貴明に告げた。「七男の若様、本家の方々が来られました。下におられます」
一橋貴明は俊顔を曇らせ、眉を寄せて尋ねた。「誰が入れたんだ?」
「三分前です。本家の方々ですから、執事も止められませんでした」
階下では十数人のボディーガードが対峙していた。
一橋家の三家はまだ分家しておらず、皆一橋家の本邸に住んでいた。
三家の一橋貴明は一橋家の宗主となり、本来なら本邸に住むべきだが、本邸の陰謀渦巻く雰囲気が嫌で、独りで別邸に住んでいた。
普段は三家の者も、分家の者も、誰も彼を邪魔しに来る勇気はなかった。
一橋貴明は真龍の寶玉の件で既に苛立っていたところに、本家が出てきて騒ぎ出すとは、まさに鉄板を蹴るようなものだった。
ちょうど怒りの捌け口を探していたところだ!
松本旻は一橋貴明に叱られた後、もう留まる勇気がなく、階下に降りたところで一橋の本家の人々と鉢合わせた。
一橋大御爺さんには三人の息子がいた。
本家は早くに結婚し、子孫も最も多く、既に孫の世代もいて、嫡孫が一橋逸飛だった。
二家と三家の娘たちは皆既に結婚しており、叔父の世代は二家の一橋景肴、一橋西詞、そして三家の一橋貴明だけだった。
今回来たのは、一橋の本家の若奥様、小口芯だった。
松本旻は一橋貴明と親しく、同世代なので、一橋大奥様に会っても挨拶程度で済ませた。「これは一橋大奥様ではありませんか?どうして別邸にいらっしゃったのですか?」
小口芯は今年まだ四十歳で、手入れが行き届いており、三十歳そこそこに見えた。
彼女は湖の緑色の着物を纏い、優雅で気品があったが、声音は冷たかった。「なぜ?私は義弟の家にも来てはいけないというの?」
「七郎が二十億で玉を落札したと聞いたわ。どんな宝物なのか、そんなに価値があるのか、見に来たのよ」小口芯はゆっくりとソファに腰を下ろした。
松本旻は口を尖らせながらも、小口芯に面子を立てた。「専門家の方々が上で調査中です。七兄さんの許可なしには、奥様も専門家の邪魔はできません」
「松本旻!」