小口芯は憤慨し、歯を食いしばって言い放った。「いいわ、早く生雲を見つけることを祈るわ。でなければ、宗主の座を明け渡した方がいいわよ」
小口芯が去った後、松本旻は慌てて一橋貴明の方を見た。「七兄さん、これからどうしましょう?」
当時、一橋貴明が突然現れなければ、長男家が手に入れかけていた宗主の座を失うことはなかったはずだ。
これほど長い年月、長男家は一橋貴明に恨みを抱き、何とかして彼を失脚させようと画策してきた。
老爺と老夫人の一件は、一橋貴明とは直接関係なかったものの、確かに彼が宗主になった時期に相次いで事件が起きた。
そして大邸宅では風水や霊を深く信じているため、この件が一橋貴明の頭上に降りかかるのは、どう考えても良い結果にはならない。
「他に方法があるのか?もちろん探すしかないだろう!」一橋貴明は不気味な目つきで松本旻を睨みつけた。今この時期に、生雲を見つけて祖母を治療してもらう以外に、どんな方法があるというのか?
それとも名医高橋を探すか?
一橋嬌のあの中途半端な医術では、名医高橋に祖母を殺されかねない。
松本旻は口を尖らせた。「こんなに長く探しても見つからなかったのに、見つかるわけないでしょう?」
一橋貴明は薄い唇を固く結び、黙り込んだ。
もし見つからなければ……
「七兄さん、七兄さん!」
突然、中村少華の声が響いてきた。男は急いで来たようで、何か緊急の用件があるらしい。「緊急の用件があるんです。すぐに助けてください」
松本旻が近寄って聞いた。「どうしたんだ?そんなに慌てて」
「七兄さんは今怒りを抱えているから、機嫌が悪いぞ。気をつけた方がいい」彼は中村少華に注意を促した。
もし中村少華の話が大したことなければ、一橋貴明のこの火薬庫のような状態では、中村少華を八つ裂きにしかねない。
中村少華は松本旻の言葉を無視し、一橋貴明に向かって言った。「七兄さん、私の姉をご存知ですか?」
一橋貴明が答える前に、松本旻は信じられない表情で中村少華を見つめ、驚いて叫んだ。「お前に姉がいたのか?知らなかったぞ」
「黙っていれば誰もお前を唖だと思わないのに」中村少華は腹を立て、松本旻の頭を平手打ちした。
本当に腹が立つ!