雑貨屋の中が一瞬静かになった。
しばらくして、向淮は「フッ」と低く笑った。
手に持っていた本を置くと、深褐色の瞳に一筋の狡猾な光が走った。「坊や、何を夢見たんだい？」
その言葉を聞いて、薛夕は顔が熱くなるのを感じた。
夢の中で、彼を触っただけでなく、さらに……
いつもは冷淡な彼女も、今は少し恥ずかしさを感じていた。そして初めて自分の優れた記憶力を呪った。夢の中の細部まではっきりと覚えていたのだから。
夢の中での彼の腹部の感触、そして……まるで本当のことのようだった。
薛夕の目の中の霞が晴れたようで、中の黒くて輝く瞳が露わになった。彼女は怒った様子で向淮を見つめ、再び罵った。「卑怯者！」
坊やはいつも感情の起伏が少ないのに、これは向淮が二回目に見る彼女のこんなに怒った姿だった。彼女の白い頬が膨らんで、思わず突っつきたくなるほどだった。触り心地はきっと最高だろう。
でも、そうしたら坊やはもっと怒るだろう。
向淮は突っつきたい衝動を必死に抑え、だらしなく後ろに寄りかかった。唇の端を上げて、いつものような軽い笑いや低い笑いではなく、完全に笑顔を広げた。彼がこう笑うと、鋭い目元も笑みで揺らめき、低い笑い声が人の心をくすぐった。
そして、薛夕は彼の言葉を聞いた。「私が悪かった」
薛夕は怒った。やはり彼の仕業だったのか？
彼女が怒り出そうとしたとき、この男がゆっくりと続けた。「ある諺にこういうのがある。昼に思うことは夜に夢見る、とね」
彼の唇の笑みがさらに深くなった。「坊やを満足させられなかったから、そんな夢を見させてしまった。私が悪かった」
薛夕はしばらく反応できず、やっと頭の中で疑問符を描いた：？
チッ〜
椅子が引かれて床とこすれる音が聞こえ、向淮が立ち上がった。身長188センチの彼は薛夕より丸々一頭分高かった。彼はカウンターの後ろから回り込み、長身を彼女の前に立たせた。少し腰を曲げ、頭を下げて、彼女の耳元に近づいた。「いい方法があるよ。もう夢を見なくて済むようにね」
薛夕は流されてしまった。「どんな方法？」
