寺田凛奈は黒いビニール袋に薬材を入れていた。その言葉を聞いて、適当に答えた。「少し漢方薬よ。おばあちゃんの目の治療のためよ」
石丸和久は少し驚いた様子で「漢方医学もできるの?」
寺田凛奈が話そうとしたとき、渡辺由佳がすでに口を開いていた。「彼女に何の漢方医学ができるっていうの?たぶん外で適当に買った既製品の軟膏でしょ?でもあなたのおばあちゃんの目は20年以上も見えないままよ。私たちは多くの医者を探したけど治せなかったわ。この雑多な、どこで作られたかわからない薬を、むやみに使わないでね!おばあちゃんは年だから、何か起こったらあなたが責任取るの?」
嫌味な声に寺田凛奈は眉をひそめた。
渡辺昭洋がすでに口を開いていた。「二姉さん、もういいよ!凛奈はまだ子供だよ。彼女に八つ当たりするなよ」
渡辺由佳はすぐに反論し、渡辺昭洋と口論を始めた。
寺田凛奈は何も言わず、直接2階のおばあちゃんの部屋に向かった。
おばあちゃんはソファに寄りかかって横になっていた。下階の口論の声も聞こえていたようで、静かに涙を流していた。ドアが開く音を聞いて、頭を傾けて耳をドアの方に向け、尋ねた。「誰?」
老人はすでに年老いており、開いた両目は空虚に見えた。白髪まじりの髪はきちんと後ろで結ばれていた。部屋の明かりは消えていた。結局、彼女には光は必要なかった。薄暗い環境の中で、彼女の姿は特に心を痛めるものだった。
寺田凛奈は杏色の瞳を少し伏せ、長くカールした睫毛がその中の感情を隠した。できるだけ明るい調子で口を開いた。「おばあちゃん、私よ」
「凛奈か!」おばあちゃんは涙を拭い、起き上がって彼女に手を伸ばした。「さあ、おばあちゃんのところに来なさい!」
寺田凛奈が芽を連れてソファに座ると、おばあちゃんはため息をついた。「凛奈、あなたの二番目の叔母さんは口は悪いけど心は優しいの。彼女の言葉は聞き流しなさい、気にしないで」
この比喩に寺田凛奈は口角を少し上げた。「はい」
彼女は手に持っていた袋を開け、中から丸薬と軟膏を取り出し、おばあちゃんに丁寧に薬の使い方を説明した。おばあちゃんが覚えたのを確認してから、しばらく話をして、それから部屋を出た。