寺田凛奈は立ち上がり、出迎えの準備をした。
二歩歩いたところで、寺田健亮たちがじっと座っているのが見えた。顎を少し上げ、世界中で自分たちが一番偉いという態度を示していた。明らかに外の人を気にしていなかった。
彼女は彼らを無視し、そのまま外に出た。そこには優雅で上品な中年女性が立っていた。
女性は手入れが行き届いており、長袖のチャイナドレスを着ていた。まるで山水画から抜け出してきた美人のようで、歩く姿には書香の家系特有の控えめな魅力が漂っていた。
福山さんはアルコールスプレーを手に持っていた。元々、入ってくるのはおどおどして、体中が汚れた村の女性だと思っていたが、まさかこんな姿だとは想像もしていなかった。一瞬、手のアルコールスプレーをかけるのをためらってしまった。
渡辺奥様の石丸和久は優しく微笑んだ。「凛奈、また会えたわね!」
寺田凛奈も、ここで彼女に会うとは思っていなかった。一瞬呆然とした。「あなたは...」
石丸和久は早足で近づき、彼女の手を握った。「いい子ね、これも縁よ。あなたが叔父さんを救ったのよ!」
寺田佐理菜は部屋の中で、もう人をあざ笑いたくてたまらなかった。二人が玄関で挨拶を交わしているのを見て、直接玄関に向かって歩いた。「福山さん、消毒しました?家にはむやみに人を入れちゃダメよ...」
後半の言葉は、石丸和久を見た途端に途切れた!
3秒間の沈黙の後、彼女の声は突然高くなり、鋭く叫んだ。「あなたが寺田凛奈の叔母さん?」
富樫和恵と寺田健亮も、彼女のこの反応を聞いて立ち上がり、外に向かって歩いた。
富樫和恵はそっと口を開いた。「佐理菜はまだ見聞が狭いわね。田舎の野暮ったい女性の姿を見たことがないから、こんな大げさな反応をするのよ。はぁ〜」
彼女はこっそりと背筋を伸ばし、目つきには得意げな表情が浮かんでいた。
寺田健亮と結婚した当時、みんなは彼女が彼の亡き妻ほど美しくないと言っていた。これらの年月、彼女の心には常に火種があった。今やっと家柄の面で鼻を高くできる機会が来たのだ!
彼女は必ず寺田凛奈の貧しい親戚に威厳を示してやろうと思った。
次の瞬間、彼女は石丸和久を目にした!