Chereads / 藤原奥様は弱虫でお世話が必要? / Chapter 28 - 第28章 あの女に心はない

Chapter 28 - 第28章 あの女に心はない

そのとき、また2通のメールが届いた。

一通は東京大学の公式アカウントからで、彼女の参加確認のメールだった。メールの最後には「以前ご指導いただいた高倉彩芽も、今回のファッションデザインコンテストに参加します。彼女にご興味があったのではないでしょうか?」と書かれていた。

高倉海鈴は「あっ」と声を上げ、もう一通のメールを開いた。

藤原財閥デザイン部からのメールで、東京大学のファッションデザインコンテストへの参加を依頼するとともに、協力関係を築きたいという誠意ある申し出があり、山内さんとの面会を希望し、協力について話し合いたいとのことだった。

高倉海鈴は藤原財閥という文字に目を留め、最後にはため息をついた。

翌朝、高倉海鈴が家を出る時、藤原徹はまだ起きていなかった。彼女は食パンを一枚手に取り、新しく来た家政婦に一声かけて出かけた。

藤原徹が階下に降りてきた時、家政婦が近寄ってきた。「旦那様、おはようございます。」

藤原徹は家政婦から新聞を受け取りながら、何気なく尋ねた。「奥様は?まだ起きていないのか?」

家政婦は手を下ろして答えた。「奥様は早朝に出かけられました。」

藤原徹は新聞を置き、冷ややかに笑った。

高野広が来た時、藤原徹が冷たい表情で食堂に座っているのを見て、唾を飲み込んだ。「社長、そろそろ出発しましょうか?」

藤原徹は冷笑した。「他に何かあるのか?」

高野広はそっと階上を指差し、おそるおそる尋ねた。「奥様をお待ちにならなくても?」

藤原徹:「お前が待つのか?彼女がお前を待つとでも?」

あの女には心がない!

高野広:「……」

なるほど、奥様は彼らを置いて先に行ってしまったのだ!

その時、東京大学のファッションデザインコンテストの楽屋は人で溢れかえっていた。

平凡な顔立ちの女子学生が高倉彩芽の腕に親密に寄り添いながら、驚いた様子で言った。「今回のコンテスト、すごく参加者が多いわね?例年より全然多いじゃない!」

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