Chapter 45 - 045.当事者は見えず

宋域は彼女をどうすることもできず、ただ仕方なく首を振るしかなかった。

陸墨擎は病室にあまり長くいなかった。外に出て電話を受けたが、彼が出て行くとすぐに蘇柔がやってきた。

彼女は意図的に陸墨擎を避けてここに来た。先ほど陸墨擎が階下で彼女に言った言葉で、彼女の感情が少し乱れていたのだ。

陸墨擎は単純な人間ではない。彼女は自分の感情をうまくコントロールできず、陸墨擎に見透かされてしまうのではないかと恐れていた。

「瞳瞳」

「柔ちゃん」

蘇柔の声を聞いて、陸歆瞳はやっと布団から顔を出し、熱心に彼女を座るよう招いた。

「宋さん」

蘇柔は礼儀正しく宋域に挨拶した。

宋域はただ軽く頷いただけで、陸歆瞳のように熱心ではなかった。この蘇柔に対して、彼はあまりいい感じを持っていなかった。

彼女は陸歆瞳の命の恩人ではあるが、これほど長い間、宋家でも陸家でも多くの恩恵を受けてきた。

しかし、この女性はいつも彼に計算高さを感じさせた。彼の奥さんのような感情を表に出しやすい純粋な心では、彼女と長く一緒にいるのは適していない。

しかし皮肉なことに、彼の奥さんはこの命の恩人に感謝しすぎているのだ。この蘇柔に対しては心の底から尽くしているといっても過言ではない。

さらに、この女性のために、自分の兄と義姉の結婚を壊そうとさえしている。これは宋域の心を少なからず不快にさせたが、自分がいつも彼女を甘やかしているのだから仕方がない。

だから、この蘇柔という女性があまり度を越さない限り、彼女の好きにさせておこうと思った。

この点で、宋域と陸墨擎の考えは一致していた。

「柔ちゃん、知ってる?あの腹黒女の義姉がまさか医者だったなんて。私と小宝の命を救ったのも彼女なのよ。ああ、本当に彼女に恩を感じたくないわ」

陸歆瞳は蘇柔の前で不満を漏らした。蘇柔の口元の笑みが一瞬凍りついた。

喬栩については、彼女は陸家の人々よりもっと多くのことを知っていた。

ずっと昔から、彼女は喬家に入るためには喬栩を通さなければならないことを知っていた。

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