水泳で3人が赤面する中、向淮だけが平然とした様子で、水中で何も起こらなかったかのようだった。
薛夕が窒息しそうになったとき、向淮はようやく彼女を放し、二人は水面に浮かび上がり、立って話せるようになった。
薛夕は眉をひそめた。「泳げないの?」
向淮はうなずいた。「うん、教えてくれる?」
薛夕は心の中でつぶやいた。やっぱり恋愛以外は何もできないんだ、ただのイケメンだ!
彼女はため息をつき、彼を慰めた。「落ち込まないで、ちゃんと練習すれば上手くなるわ。」
向淮:「…………」
薛夕はさらに尋ねた。「でも、さっきなんでキスしたの?」
向淮は少し黙った後、ロマンチックな感性のない子だな、と思いながらも、用意していた言い訳を口にした。「息ができなくなりそうだったから、君から空気をもらおうと思って。テレビドラマでそういうのを見たんだ。一息分もらえば大丈夫だって。」
「そうなの?」
さっきは相手が彼女の口腔内の空気を全部吸い取ったので、彼女には感じられなかった。この言葉を聞いて少し疑問に思いながら「そんなこともできるの?」
向淮は目を細め、何か言おうとしたが、小さな相手が口を開いた。「もう一度やってみて。今度は私に空気を渡して、息が続くかどうか見てみたい。」
「……いいよ。」
向淮の目に笑みが浮かんだ。そして薛夕が水中に潜るのを見て、彼も潜った……
30秒後、二人は再び水面に浮かび上がった。向淮が尋ねた。「感じた?」
薛夕は首を振った。「ううん。」
向淮は彼女の肩を押さえ、再び水中に引き込んだ。「じゃあ、続けよう。」
「…………」
何度か繰り返しても、薛夕は息を続けられなかった。最後に彼女は立ち上がって言った。「テレビドラマは嘘ばっかり!」
向淮:「そうだね。じゃあ小さな子、これから僕に泳ぎを教えてくれる?」
薛夕:「……いいわよ。」
その後——
「腰を掴まないで!」
向淮:「溺れそうで怖いんだ。水の中はとても怖くて、安心感がないんだ。」
「…………」
「リラックスして。そうすれば浮くわ。」
「君の前ではリラックスできないよ。」
「…………」