秦爽は階上に行って状況を確認したいと焦っていたが、薛夕のこの言葉を聞いて、素直に彼女の後ろについていった。
二人で教学棟を一周し、薛夕はその場に立ち止まり、手を伸ばして空中で何かを描いているようだった。
秦爽は不思議そうに尋ねた。「夕さん、何をしているの?」
薛夕:「この建物の構造図を描いているの。」
秦爽は前方の何もない空気を見て:…………
薛夕は半空を集中して見つめていた。彼女には一度見ただけで忘れない能力があり、さっき一周して監視カメラの位置をすべて確認していた。
教学棟内の監視カメラはあまり役に立たない。撮影できるのは廊下だけで、秦璐と刘さんが事務室で何をしたかは見えないはずだ。だから薛夕が注目したのは外の監視カメラだった。
それらの監視カメラが捉えられる角度を推論と計算を経て、薛夕の視線は教学棟の裏にある柱の上の監視カメラに固定された。
この監視カメラは、教学棟の裏で何か起こるのを防ぐために設置されたものだが、その角度がちょうど刘さんの事務室の窓を撮影できるようになっている。
今、階上に行って刘さんの事務室の窓が開いているかどうかを確認すれば、すべてが解決するはずだ。
薛夕はそう考えると、秦爽と一緒に階上に向かった。二人は事務室に入らず、外から覗いただけで、刘さんの部屋のカーテンが閉められていないことがわかった。
よし、あの監視カメラで見えるはずだ!
秦爽が尋ねた。「夕さん、証拠は見つかった?」
薛夕はさらっと目を伏せて:「見つかったわ。」
秦爽は急いで言った。「じゃあ早く出して、刘さんの潔白を証明しよう!」
薛夕は少し考えてから、ゆっくりと言った。「急がなくていいわ。」
そう言うと、彼女は秦爽の耳元に近づき、何かを小声で指示した。
秦爽はそれを聞いて少し困惑したようだったが、それでも頷いて、高校3年1組に向かって走っていった。
事務室の中。
秦のははと秦お父さんはまだ刘さんを追及し続けていた。刘さんは一生懸命弁明していたが、彼らは信じようとせず、事態はゆっくりと発酵し、大きくなっていった。