薛夕はいつも一目で物事を記憶できた。欲しいものも欲しくないものも、一度見ただけで元の姿を覚えられた。昨夜、秦爽と戯れた時、親友同士でこんな冗談も言えるのかと初めて知った。
しかし、そのちらっと見た瞬間に、秦爽の体型を記憶していた。
これが、あの写真を見た瞬間に無意識に保存した理由だった。
でも、この写真が秦爽でないとしたら、誰なのだろう?
もしかして、合成されたものなのか?
そう考えながら、薛夕は秦爽たちの後ろについて行き、彼らを呼び止めて秦爽に言った。「よく考えて。写真を撮った時、何をしていたの?」
薛夕が話している間、傍らにいた高彥辰はその言葉を聞いて、鳳眼を大きく見開き、信じられない様子で薛夕を見た。
夕さんのこの言葉は、秦爽をもっと苦しめるのではないか?
案の定、秦爽の目には葛藤と恐怖の色が浮かんだ。彼女は首を振り、何か言おうとしたが、薛夕はさらに尋ねた。「あなたが撮った写真は、どんなポーズだった?」
高彥辰はいつも薛夕の言うことに従順で、めったに反論しなかったが、この時ばかりは言葉を抑えきれなくなった。夕さんはいつも我が道を行くタイプで、人にそういった事を思い出させるのがどれほど辛いことか、おそらく分かっていないのだろう。
しかし彼が口を開こうとした時、秦爽が突然気づいたようだった。
彼女は急に顔を上げ、さっきまでの落胆した様子は完全に消え、すぐに叫んだ。「これは私の写真じゃない!」
彼女が強制的に写真を撮られた時は、しゃがんでいたはずで、立って撮ったことなどなかった!
薛夕は頷いた。
秦爽は困惑した様子で「でも私が撮られたものじゃないなら、この写真は一体どういうこと?加工されたの?でも誰がそんなことをする理由があるの?」
彼女は携帯を手に取り、再びその投稿を開いた。
先ほどの写真サイトはすでに閉鎖されていたが、ネット全体がすでに炎上していた。
大半の人々は学校の非人道的な対応を非難していたが、一部の人々は陰で冷やかな言葉を投げかけていた:
——「さっき見た写真の中で、3番の写真はなかなかだったな!」
——「ハハハ、4番の胸がもっと大きいよ。残念ながら誰かは分からないけど、彼女たちの親族や友人は知っているんじゃない?」