薛夕は警備員を蹴り倒し、直接学校の中に突っ込んだ。
彼女が中に入ると、少し離れたところに隠れていた景飛は唾を飲み込んだ。義姉さんは自立できない弱々しい少女だと思っていたが、まさかこんなに激しい性格だとは!
彼は急いで向淮に電話をかけた。「ボス、義姉さんが中に突っ込みました。」
相手の返事はのんびりしていた。「ああ、見ていろ。人命に関わらなければいいだけだ。」
景飛:「……え?義姉さんにそんなに無関心なの?人命に関わらなければいいっていう底線?」
「俺が言いたいのは、彼女が人命に関わるようなことをしないようにってことだ。」
「…………」
景飛はしばらく考えて、やっと この言葉の意味を理解した。なんと、義姉さんに人を殺させないようにってことか!
彼は口角をピクリとさせて:「分かりました。」
向淮は念を押した:「彼女を中に入れて少し混乱させておいて、お前は仕事を急げ。」
「ボス、男に早くしろって言わないでください!」景飛はパソコンを持ち、指が素早くキーボードを叩いていた。「少なくともあと1時間は本当の男らしさを見せますよ。」
「…………」
こちらでふざけている間に、薛夕はすでにキャンパス内に入っていた。
警備員は大声で叫んだ。「お前は誰だ?誰か来てくれ、不審者が学校に侵入した!」
こう叫ぶと、4、5人の警備員が駆けつけてきた。細身の女の子だと分かると、その4、5人はにやにや笑いながら言った。「お前、だめじゃないか。こんな華奢な女の子も抑えられないなんて?」
蹴られた警備員は即座に叫んだ。「この子は強いぞ、油断するなよ!」
その数人が前に進み、「女の子一人、どれほど強いわけがない?みんなで行くぞ!」
そう言うと、5人が薛夕に近づいた。ある者が口を開いた。「お嬢ちゃん、早く帰りな。そうすれば見逃してやるぞ!」
しかし薛夕は尋ねた。「秦爽はどこ?」
5人は戸惑った。「何だって?」
薛夕は自分の言葉を繰り返した。「秦爽を探しに来たんだ。」
5人の警備員は互いに顔を見合わせ、最後に笑って言った。「頭がおかしいんじゃないか?捕まえろ!」