学習の時間は、いつもこんなに早く過ぎていく。
一日の授業はあっという間に終わり、薛夕は自習の時間を利用して宿題も片付けた。放課後、彼女はバッグに英語の専門用語の本を一冊詰めただけだった。慈善晩餐会に向かう道中で読めるからだ。
慈善晩餐会は浜町の六つ星高級ホテルで開催された。彼女たちが到着したとき、すでに多くの人が集まっていた。
薛夕は葉儷について車を降り、ちょうど入場しようとしたとき、ある声が聞こえた。「お義姉さん！」
劉依秋が優雅に近づいてきた。彼女は宝石をちりばめた派手な服装で、金持ちの奥様という雰囲気だった。薛おくさまを腕に抱えて歩いてきて、劉依秋はまず不満を口にした。「お義姉さん、私たちは家を分けたとはいえ、まだ親戚じゃないですか。どうして私があなたたちのマンションに行っても入れてもらえないの？ここであなたたちを待つしかなかったわ。」
葉儷は控えめな性格で、彼女の派手な装いが好きではなかった。淡々とした口調で答えた。「何か用？」
劉依秋は笑った。「あなたが慈善晩餐会に来ると聞いて、出品できるものがないんじゃないかと心配したの。ここにあなたのために用意したものがあるわ。」
彼女はバッグから箱を取り出して渡した。「これはダイヤモンドのブローチよ。20万元の価値があるわ。これを競売に出したらどう？」
薛おくさまは冷ややかに鼻を鳴らした。「葉儷、あなたは二番目の義妹を見習うべきよ。大局を考えなさい。彼女がどれほど賢明で寛大か見なさい。」
賢明で寛大？
これは先に葉儷に恩を売っておいて、後で返してもらう算段だろう？
どうやって返すかは葉儷にも分かっていた。結局は陸超を紹介してほしいんだろう？
葉儷はこの二人が本当にしつこいと思った。しかし、今では少し賢くなって、直接交換は不可能だと分かっているから、先に恩を売って、後で見返りを求めようとしているんだ。本当に機会を逃さないものだ！
彼女はブローチを押し戻した。「これは必要ありません。今夜競売にかけるものは、すでに用意してあります。」
劉依秋は驚いた。「用意してある？」
彼女の視線が二人の上を滑り、最後に葉儷が手に持っている長い箱に落ち着いた。「これは何？」
