薛夕はこのニュースを聞いて、掛けてあるテレビの方を見上げた。
劉依秋はこれらに気づかず、まだ葉儷と話し続けていた。
葉儷は劉依秋の言葉を聞いて、眉をひそめた。「次男の奥さん、心配しなくていいわ。この投資には、うちは参加しないから」
劉依秋は口をとがらせた。「お姉さん、なぜ強がるの?こんな利率なら、心動かされないはずがないでしょう」
葉儷が何か言おうとしたとき、ウェイターが薛瑤のサイズの靴を持ってきた。「薛奥様、こちらの靴をお包みしました。カードでお支払いですか、それとも現金ですか?」
劉依秋は残高をちらりと見て、たった1万余りしか残っていないことに気づいた。
今朝、彼らはほとんど全財産を投じて、やっと5000万の現金を集め、薛貴に陸超へ渡すよう頼んだのだ。
本来なら、この1万余りは車の整備に使うはずだったが、今は...劉依秋は葉儷と薛夕を見て、彼らの前で弱みを見せるわけにはいかないと思った。
そこで劉依秋は強がって笑いながら言った。「カードで」
どうせ半月もすれば、2000万以上の利子が入ってくる。そうなれば、お金に困ることなんてないでしょう?
劉依秋がカード決済に行っている間、葉儷と薛夕はソファに座り、ウェイターが靴を試着させに来た。葉儷が口を開いた。「夕夕、ママは役立たずかしら?」
薛夕は驚いて、彼女を見つめた。
葉儷は眉をひそめた。「この何年か、私もあまりお金を貯めていなかったわ」
娘が行方不明になって以来、彼女は生ける屍のように生きてきた。毎日自分を飢えさせないだけでも上出来だった。お金を貯める余裕なんてどこにあっただろうか?
幸い、薛晟は気にしていなかったが、やはり自分のお金を使ってこそ、より堂々とできるはずだ。
そう考えると、葉儷は深呼吸をした。「夕夕、この頃私はいくつか絵を描いたの。展覧会に出して、売れるかどうか試してみようと思うんだけど」
もし1枚の絵が数万元で売れたら...あるいは数千元でも、薛夕に服を1着買ってあげられる。