車が外に停まり、劉依秋と他の数人が立ち上がって外に向かった。
薛晟が葉儷に目配せをし、葉儷は静かに薛夕を2階に連れて行った。二人が薛夕の寝室に入ると、葉儷はベッドの上に置かれたドレスを指さして言った。「今夜はこれを着てみたら?」
制服を着たまま客をもてなすのは良くない。
薛夕は気にせず、その長袖の白いウエストが絞られたロングドレスを着た。ドレスのデザインはとてもカジュアルだった。
しかし薛夕がこの服を着ると、葉儷の目が輝いた。
自分の娘が美しいことは知っていたが、普段はスポーツウェアや制服を着ているのを見慣れていたので、突然ドレスを着るとこんなにも目を引くとは思わなかった!
薛夕は高いポニーテールを結び、葉儷について階段を降りた。
階段の入り口に到着すると、下から薛おじいさまのお世辞が聞こえてきた。「陸さま、ご来臨いただき、寒舎に光栄です!」
すぐに不快な声が返ってきた。「薛さん、お気遣いなく。我々はみな商人ですから、利益のために集まっているのですよ。」
薛夕は家の客にあまり関心がなく、夕食後にどの問題集を解くか考えていた。宿題はすでに終わっていたからだ。
階下に降りると、劉依秋の隣に彼女と少し似た顔立ちの太めの男性が立っているのが見えた。おそらく彼女の兄の劉晉茂だろう。
劉晉茂の隣には、中肉中背で目が小さく、笑みを浮かべた男性が立っていた。彼はスーツを着ており、28、9歳くらいに見えた。
薛夕にはなぜかわからないが、彼の目つきがとても不快に感じられた。同じ陸超という名前でも、小虎牙ちゃんの方がずっと印象が良かった。
この男性は薛夕を見て目を輝かせ、尋ねた。「こちらは?」
薛晟が一歩前に出て、薛夕の前に立ちはだかり、簡単に紹介した。「陸さま、こちらは妻と娘です。さあ、食事に行きましょうか?」
「陸超」は目を細め、薛晟の背後にある白い姿を見つめ、笑った。「はい、食事をしながら話しましょう。」
食卓につく際、薛おじいさまが自ら席を譲った。「あなたは客人ですから、今日は主席にお座りください。」