休憩室の外。
渡辺光祐と彼の友人、そして心海のお母さんが外で不安そうに待っていた。
寺田凛奈は中で着替えをしていた。
渡辺光祐の友人が口を開いた。「本当に彼女に出場させるの?」
心海のお母さんも眉をひそめた。「そうね、寺田さん大丈夫かしら?」
友人:「彼女、レースカーの運転ができるの?やったことあるの?こんな状態で出場したら絶対負けるよ、ビリになるんじゃない?」
渡辺光祐は顎を引き締め、イライラした様子で言った。「じゃあ、お前が出るか?」
彼の友人はすぐに口を閉ざした。
渡辺光祐は休憩室を見つめていた。
彼は今回絶対に負けることを知っていたが、足首の痛みが今日さらにひどくなっていて、とても耐えられそうにない。秋田悠央が言ったように、ブレーキさえ踏めないかもしれない!
こんな状況では、彼にもどうすることもできなかった。
死馬を生馬として扱うしかない!
「ギィ」
ドアが開き、赤と白のレーシングスーツを着た寺田凛奈が休憩室から出てきた。彼女は手にヘルメットを持ち、長い髪をポニーテールに結んでいた。
体にぴったりとしたレーシングスーツが彼女の美しいスタイルを際立たせ、ドアの前にいた3人は驚いて見とれていた。
心海のお母さんは彼女のスタイルを上から下まで見て、「寺田さん、あなたのスタイル本当に素晴らしいわ!それに、女性がレーシングスーツを着るとこんなにかっこよく見えるなんて初めて思ったわ!」
友人も褒めていた。「渡辺光祐、この姉さん、少なくとも見た目は飾りものじゃないな!イメージいいよ!負けても格好よく負けられそうだ。」
渡辺光祐:「……」
「レーサーの皆様、コースにお進みください!」
放送の声とともに、渡辺光祐は杖をつきながら一足先に歩き出し、4人でレースカーのある場所へ向かった。
渡辺光祐は自分のレースカーが大好きだった。彼のレースカーは改造を重ね、今では京都で最高の車の一つになっていた。
寺田凛奈は車を運転するのが好きだったが、彼女が好きなのはスピード感のある運転で、レースカーにはあまり興味がなかった。彼女は渡辺光祐の車に触れてみて、ただ気持ちいいと感じた。
「中に入って試してみて。」