藤本凜人の心臓が激しく鼓動した。彼女が体勢を立て直すのを見て、ようやく安心した。
しかし、彼女の顔を見ようとした瞬間、画面上に飛行機のアイコンが次々と流れた。
彼は眉をひそめてしばらく考えた後、ようやくギフトの特殊効果をオフにした。しかし、再び見ようとしたときには、寺田芽はすでにカメラをオフにしていた。
なぜか、心の底に残念な気持ちが湧き上がった。
彼は首を振り、自分がおかしいと思った。
たった数回会っただけの子供なのに、なぜ相手の顔が気になるのだろうか?
彼は携帯電話を横に投げ出し、イヤホンから少女の柔らかな声が聞こえてきた。「おじいちゃん、飛行機をありがとう。チュッチュッチュ!」
藤本凜人は何故か、心の底に少し不快感を覚えた。
彼はあれだけ多くの飛行機を送ったのに、どうしてこの芽は彼にチュッチュッチュをくれないのだろうか?
そこで、再び9999の飛行機が画面上に流れた。
ギフトを送り終えた後、彼は我に返り、自分が本当に狂ってしまったと感じた...
そして、小さな子供が興奮して言うのを聞いた。「わあ、パパもすごいね、チュッチュッチュ!」
藤本凜人の唇の端が思わず上がった。
2時間後、寺田芽はゲームを終え、夕食を食べに行く準備をした。
配信ルームを退出した後、彼女は椅子に座り、あごを支えながらファンランキングの上位にいる2人を見つめた。
スポンサーおじいちゃんは相変わらず1位で、合計500万円を寄付していた。
パパは2位で、400万円を寄付していた。
パパからもらったお金は、彼女は心安らかに受け取っていた。でも、スポンサーおじいちゃんは自分のことを知らないみたいで...
寺田芽は思い切って彼のプライベートメッセージを開き、彼に音声メッセージを送った。
寺田家。
昨日は豚の角煮を注文したが、寺田亮は一口食べただけで箸を置いてしまった。
今でも、ぼんやりとそこに横たわっている。
寺田芽の配信を見ることが、彼の一日の中で唯一の楽しみのようだった。
寺田亮は眉をひそめた。
美しい顔に、その瞳には少し物思いにふける様子が浮かんでいた。
今日、寺田芽がマスクを外した後の顔は、どこか見覚えがあるような気がした。