高倉彩芽のデザインがあまりにも素晴らしかったからこそ、審査員たちの心を掴み、一位を獲得したのだ。
藤原徹も高倉彩芽のデザイン画を見た。確かに美しいが、なぜか彼女の作風とは違和感があるように感じた。
だから彼は、高倉彩芽に投票しなかった。
そして高倉海鈴は、このデザイン画について次のように評価した。「デザインの道は険しく、デザイナーたちは努力を重ね、オリジナリティを守り続けなければならない」
名剣は研ぎ出されて鋭くなり、梅は寒さを経て香り高くなる。
努力を続ければ、必ず自分の道が開かれる。
しかし残念なことに……
この道で、近道を選ぶ人が多すぎる。
高倉彩芽は、高倉海鈴が山内正だと認めた瞬間から呆然としていた。いや、まさか、彼女が山内正のはずがない!
「なぜ皆さんが高倉彩芽を私の弟子だと言うのかわかりませんが、東京大学の非常勤講師として、確かに彼女に指導したことはあります。彼女のファッションデザインの才能は素晴らしいものでした」
高倉海鈴は顎を少し上げ、ゆっくりと話を続けた。「才能を惜しんでいたのかもしれません。また、人からの依頼もあり、私は日本により多くの優れたデザイナーが現れることを願って、高倉彩芽には特に多くの指導をし、普段わからないところはビデオ通話で指導していました」
「その時、私はちょうどこの季節のデザイン画を描いていて、高倉彩芽がそれを見て質問をしてきました。それが彼女が今回のコンテストに出品した『生長』という作品です」
高倉海鈴は携帯から自分のオリジナルデザイン画を表示し、カメラマンは機転を利かせて画面にレンズを向けた。
このシリーズは五穀をテーマにし、麦の穂のドレスがメインピースとして中央に配置されていた。
多くの人が高倉彩芽のデザイン画に感動したが、高倉海鈴のオリジナルを見て初めて、真の芸術の深さを知ることとなった!
生長!生長!
幾重にも重なるスカートは優雅な垂れ具合で、点々と散りばめられた金色の麦の穂が風に揺れる稲田のように輝いていた。