ビルの外で、谷口敦は興奮して高倉海鈴の首に腕を回した。「高倉さん、高倉さん、どうして急に藤原財閥との提携を承諾したの?無理する必要はないよ。僕の顔を立てるために承諾する必要なんてないんだから」
少なくとも藤原財閥の人と会ってから決めるべきだったのに。
高倉海鈴は目を転がした。
藤原徹と高野広が、くどくどしい学校幹部から逃れた時、ビルの外に立つ二人の姿が目に入った。
谷口敦は親密な態度で高倉海鈴に腕を回し、絶え間なく話しかけていた。
高倉海鈴はほとんどの時間、黙って聞いているだけで、時々うなずいて相槌を打つ程度だった。
一人は静かで、一人は賑やかで、不思議と調和が取れているように見えた。
高野広は密かに藤原徹の表情を窺い、話題を逸らした。「あの...奥様と谷口敦さんの仲がとても良さそうですね、ハハハ...確か谷口敦さんは山内正を妹弟子と言っていましたよね。長い間会っていなかったから、話すことが多いのも当然ですよね...」
藤原徹は無表情で谷口敦が高倉海鈴の首に回している腕を見つめていた。
谷口敦は突然背筋が寒くなり、不思議に思って振り返ると、ちょうど藤原徹と高野広が階段を降りてくるところだった。彼は手を振った。「徹さん、こっちです。紹介させてください。この子は僕の妹弟子で...」
彼の言葉が終わらないうちに、藤原徹は彼らの前3メートルのところで立ち止まり、尋ねた。「一緒に帰る?」
谷口敦は「えっ?今日、お宅で集まりがあるんですか?」と聞いた。
高倉海鈴は眉間を摘んで「一緒に行きましょう」と言った。
もうこのおしゃべりな谷口敦の話を聞きたくなかった!
「ああ」
藤原徹は軽くうなずき、駐車場の方へ向かって歩き出した。
高倉海鈴は谷口敦の肩に掛かっていた腕を払いのけ、適当に「行くわ」と言って、本当に行ってしまった。
谷口敦は彼らが前後して去っていく姿を見て...呆然とした...
どういうことだ?
彼は逃げようとする高野広を掴まえて問い詰めた。「僕の妹弟子と徹さんは知り合いなの?いつ知り合ったの?どうして僕は知らないの?」
高野広は言葉を濁した。「たぶん...そんなに長くは知り合ってないと思いますけど」
知り合って間もないのに一緒に帰る?