「本当に問題ないの?」俞晚晚は疑わしげに技術者を見た。
そんな明らかな問題は、素人の彼女にも分かるのに。
昨夜ちゃんと話し合いをして、今日監視カメラを見に来たはずなのに、突然方針を変えて見せないなんて……
どうやら、監視カメラからは何も手がかりを得られそうにない。
彼女は彼らに一歩遅れをとってしまった。結局のところ、身分とコネが足りなかったのだ。そうでなければ昨夜のような手続きはなく、彼らも細工をする時間はなかっただろう。
俞晚晚は後悔した。昨夜すぐに凌邵乘に助けを求めなかったことを。
「お嬢さん、なぜ監視カメラの映像を確認したいのですか?何か落とし物でもしたのですか?」
技術者が突然俞晚晚に尋ねた。
俞晚晚が答える前に、警備員が先に口を挟んだ。「この俞さんは最初、人身売買犯が甥を誘拐しようとしたと言い、監視カメラを見せないと、今度は指輪をなくしたと警察に通報しました。」
俞晚晚:「……」
警備員さん、少しは人間らしくできないのですか?
彼女は恥ずかしそうに二人の警察官を見た。警察官の厳しい表情に対して、彼女は照れ笑いをした。
「結局、指輪をなくしたのか、それとも別の理由があるのか?」警察官が俞晚晚への尋問を始めた。
この時点で人身売買犯を探していたと言い直せば、確実に虚偽通報罪になる。俞晚晚は指輪をなくしたと言い張った。「本当に指輪をなくしたんです。」
なくしたかどうかは、彼女自身にしか分からない。
彼女も仕方なく、この策を取ったのだ。人民警察を欺くつもりは本当になかった。このホテルが非人道的で、悪人と結託しているからだ。
「指輪はどのような経緯で購入したのですか?領収書はありますか?」
明らかに、警察官は警備員の話をより信じているようだった。
「えーと……」俞晚晚は手を上げ、後頭部を掻いた。「人にもらったんです。」
警察官はさらに尋ねた。「誰からですか?」
「彼氏からです。」俞晚晚は言ってから、警察官が彼氏が誰かを聞きそうだと思い、急いで言い直した。「元彼です、元彼。もう長いこと連絡していません。」