ついに307号室に到着した。
寧夕は息を切らしながら腰を曲げ、ドアを押そうとしたその時、陸景禮がすでに我慢できずに彼女の前でドアを押し開けた。
一秒後、寧夕がまだ中の人が誰なのかを確認できないうちに、陸景禮は突然顔を曇らせ、ドアを一気に閉めた。そして彼女の肩を両手で掴んで外に押し出した。「小夕夕ちゃん、行こう行こう...なんてこと!坊ちゃんがこんなに長く期待していたのに、まさかこいつかよ!死んでくれればいいのに!」
「一体誰なの、そんな反応して?」
「とにかく行けば後悔しないよ!」
「蘇衍?」寧夕は眉を上げて尋ねた。
陸景禮は顔を引き締めて、「そいつだよ!もう行っていい?」
「彼だからこそ行けないのよ!」寧夕は陸景禮の手を払いのけ、病室に向かって歩き始めた。
陸景禮は焦って足踏みをした。「小夕夕ちゃん、なんで彼のことを気にするの?お前...お前...まさか彼に未練があるの?」
寧夕は彼を無視して、直接病室に入った。
病室の中には案の定蘇衍がいた。頭に包帯を巻き、手に点滴を打ち、静かにベッドに横たわっていた。
寧夕はそっとベッドの端に腰掛け、乱れた彼の髪を指で撫でた。表情は優しく、声はさらに優しかった。「衍にいさん...」
陸景禮:「...!!!」
くそっ、何を見た!何を聞いた!
寧夕は本当にこのクズ野郎に未練があるのか?幸い兄貴が来てないが、知ったら発狂しちゃうよ!
陸景禮がそう考えていた時、突然背中に寒気を感じた。振り返ると...
兄貴が彼の背後に立っていた!!!
「お、お兄ちゃん...どうしてここに?」
しかも彼の腕の中には坊ちゃんと江牧野もいた。三人とも来ていた。
彼の想像力で、すぐに推測した。きっと坊ちゃんが待ちきれずに上がりたがり、兄貴が連れてきたんだろう。江牧野も当然我慢できずについてきたんだろう。
これは...大変なことになったぞ!
ベッドの上で、蘇衍は青白い顔で眉をしかめ、ゆっくりと目を開けた。「小夕ちゃん...」
「気分はどう?」寧夕は尋ねた。
蘇衍は恍惚とした表情で目の前の少女を見つめた。「夢を見ているのかな?」