荒い息遣いが、静かな車の後部座席で際立って耳障りだった。
蘇千瓷の心臓の鼓動は、驚くほど速かった。
下腹部のその硬い変化がますます明らかになり、蘇千瓷の元々もがいていた動きは、完全に静まり返った。
慌てふためいた黒い瞳が、哀願するように彼を見つめた。
四目が合う。
彼女は当惑し恐れていたが、彼は平然としていた。
いつもと同じように、まるであの傲慢に聳え立つ男が自分ではないかのように。
車の後部座席の中は、艶めかしい雰囲気に満ちていた。
彼らは何も動いていないのに、ヤンさん運転手は顔が燃えるように熱くなるのを感じた。
社長は本当に...凶暴だ!
「あの、社長、後ろに赤いルノーが私たちを追いかけてきています。もう何本も道を追ってきました。」
厲司承の目つきがわずかに厳しくなり、淡々と応じた。「ゆっくり走れ。」
「え?」ヤンさん運転手は聞き間違えたと思った。
「追いつかせろ。奴は俺がこの女にどうするか見たいんだろう。なら見せてやる!」
蘇千瓷はなんとなく不安になり、思わず逃げようとした。
しかし厲司承の反応はより速く、彼女のあごを掴み、そのまま唇を覆いかぶさった。
蘇千瓷は驚愕した。
彼の動きは強引で荒々しく、少しの優しさもなかった。
火のような舌が無遠慮に侵入し狂ったように奪い、両腕は彼女を押しつぶさんばかりに力を込めた。そんなに力強く、そんなに乱暴に!
「んっ...」蘇千瓷は必死に逃げようとしたが、さらに強く押さえつけられた。
厲司承は彼女の不従順さを察知し、思い切って彼女を引き上げ、自分の上に跨がらせた。
姿勢は、野性的だった!
蘇千瓷の呼吸は激しく乱れ、やっと彼に離されると、手足を使って逃げようとした。
しかし男女の力の差は、あまりにも大きかった。
厲司承は一方の手で彼女の腰を抱き、もう一方の手で直接彼女の太ももを掴み、自分に向かって押し下げた。
蘇千瓷の体が強く押し下げられ、その熱く硬くなった部分が、運悪く彼女の...に当たってしまった。