夜7時、薄暗い空の下、街の東にある廃工場は荒涼としていた。
普段はほとんど人が来ないこの場所に、中古のバンがゆっくりと入ってきた。見た目は極めて普通のものだった。
ハンターは暗がりから用意しておいたカメラを取り出し、程幽のリモート装置に接続した。
「獲物が罠にかかった」
「了解」
バンが徐々に停車し、全身を隙間なく包んだ女性が降りてきた。
マスクに帽子、眼鏡をし、季節外れの長袖シフォンの服を着て、運動靴を履いた彼女は、ゆっくりと壁の角に歩み寄った。
約3分後、重々しいバイクのエンジン音が聞こえてきた。
高級バイクの始動音は非常に目立った。
男が降りてきて、ヘルメットを脱ぐと口笛を吹いた。唐夢穎と同様に、周囲に盗撮している人がいることに全く気づいていなかった。
「おいおい、毎回こんな格好で包まれて、何を恐れてるんだ?誰も見つけやしないよ」
「無駄口は叩くな。物はどこだ?」
「ちっ、ユーモアのかけらもないな。ほら」封筒を投げると、唐夢穎の手に落ちた。「こいつらのPS加工は簡単じゃなかったぜ。追加料金よこせよ」
「ふん、金のためならいつか死ぬぞ!」唐夢穎は封筒を開け、一枚一枚の写真を見て満足げに笑った。「どこで見つけた男だ?こんなにブサイクな」
「ネット有名人さ。知らないのか?微博で最も人気のある男で、ベッド写真を晒すのが大好きなやつだ。ちょっと金を払って、まだ流出してない写真を買って、それらの女の顔を入れ替えただけさ」
「ふむ、技術は悪くないな。PS加工だとは全く分からない」
「当たり前だろ。追加したいものは?」
「ここだ。必ず追加しろ。そうすれば、厲司承はどんなに否定しても逃げられなくなる」
「分かった。帰ったら追加する。金は忘れるなよ」
「お前には抜かりないさ!」
「分かってるだろうが、俺は命がけでお前のために仕事してるんだぞ。前回の金さんのことを覚えてるだろ?厲司承にあんな目に遭わされたんだ。今回ばれたら、俺は奴以上にひどい目に遭うぞ」
「怖いのか?じゃあ他の人にやらせるか」