「李研究員、こちらへどうぞ」
霍詩情が丁寧に案内すると、「李研究員」と呼ばれた男性は無意識に周りを見回した。まず目の前の豪華な装飾に驚き、それから目の前の人々を見た。
彼の視線が数人の上を通り過ぎた後、最後に許南歌に固定され、少し驚いた様子だった。
彼は以前、幸運にもノラ研究員を一度見かけたことがあったが、残念ながら横顔だけだった。
目の前のこの人は、ノラ研究員に少し似ていた。
許南歌もその研究所の人を見て、少し眉をひそめた。
京都研究所の院長の名前は范繁で、彼女はずっと知っていたし、薬を持ってくる人でもあった。しかし、なぜ入ってきた人はこの見知らぬ李研究員なのか?
彼女が不思議に思っている間に、霍詩情はすでに紹介を始めていた。「おじいさん、お父さん、おじさん、こちらが私が言っていた李研究員です。彼は私の彼氏のいとこで、現在は研究所で働いています」
そう言って、彼女は笑顔で許南歌を見た。「おばさん、以前あなたがおばあさまの病歴を研究所に提出したけど、そこの選考がとても厳しくて、コネは使えないって言ってたでしょ。実際そうなんです。さっき李いとこが言ってたんだけど、京都五大名家の一つである許家が突然彼らの院長に枠を要求したら、范院長は公平性を保つために、怖くなって一晩で海城まで来たんだって。だからこの試験薬の枠は本当に手に入れるのが難しいんです!」
李研究員はこの言葉を聞いて、密かにほっとした。
ノラ研究員が枠を欲しがるなら、ただ一言で済むことではないか?どうして履歴書を提出する必要があるのだろうか?
自分が人違いをしたのだと気づいた……
李研究員は笑いながら口を開いた。「主に今回ノラ研究員が研究した薬が比較的高価なので、本部からは華夏に50の枠しか与えられませんでした。しかも全てノラ研究員自身が患者を選ぶことになっています。だからこの枠は本当に人情で取ることはできないんです。霍お嬢様の孝行心に感動しなければ、私も院長に枠をお願いすることはなかったでしょう」
霍詩情はすぐに言った。「本当にありがとうございます、いとこさん。この枠がとても難しいことは分かっています。今回は本当に私たちの家族を大いに助けてくれました!」