藤本凜人は彼に話す機会を与えず、冷たく口を開いた。「幼稚園には伝えておきます。今後、木田柚凪さんには藤本家がついています。」
この言葉を残し、彼は電話を切った。
すぐに、藤本凜人は優しい目で寺田芽を見た。「芽、電話をしたよ。安心して。」
さっき芽が突然やってきて、ゴッドマザーがいじめられたから、寺田家と交渉してほしいと言ったとき、彼はちょっと驚いた。
でもすぐに反応し、これはいいチャンスだと気づいた。
女性の親友は敵に回せない。
そこで、彼はこの電話をかけた。彼にとっては、ほんの些細なことだった。
寺田芽はうなずいた。「はい!」
言い終わると、藤本凜人がまだ彼女を見つめているのに気づいた。
寺田芽は黒ぶどうのような大きな目をぱちくりさせた。「パパ、どうしたの?」
今日の芽は可愛くないのかな?
そう考えていると、藤本凜人が口を開いた。「これについて、ママに電話して報告した方がいいよ。」
良いことをしたのだから、名前を残さないわけにはいかない。
寺田芽は首をかしげた。「なんで?」
藤本凜人は顔色一つ変えずに言った。「そうすれば、ママが心配しなくていいからだよ。そうだろ?」
寺田芽は少し考えて、同意した。「そうだね!」
藤本凜人はそこに座って、可愛い娘が携帯を取り出すのを見ていた。彼女の小さな手が器用に画面を開き、寺田凛奈の番号をダイヤルした。
電話がつながるとすぐに、向こうから女性のだらしない声が聞こえてきた。「芽、どうしたの?」
寺田芽はその慣れ親しんだ声を聞いて、ママが少し恋しくなった。彼女の真っ黒な大きな目に懐かしさが浮かんだ。「ママ、ゴッドマザーが幼稚園をクビになっちゃった!」
「どういうこと?」
女性の声が一瞬鋭くなり、続いて向こうでごそごそと音がした。起きているところだったのだろうか?
でも、すぐに寺田芽が口を開いた。「でもママ、心配しなくていいよ〜私がもう解決したから〜」
藤本凜人:??
寺田芽は得意げに、手柄を誇った。「この話を聞いたら、すぐにパパにお願いして寺田家に電話してもらったの。ゴッドマザーはもうすぐ大丈夫になるはず〜ママ、私ってすごいでしょ!」