寺田凛奈がホールに入るやいなや、誰かが近づいてきて、丁重に尋ねた。「寺田さんですね?」
寺田凛奈は軽く頷いた。
その人はすぐに口を開いた。「こちらへどうぞ。」
寺田凛奈:?
藤本凜人が個室で話をするのに、こんなに大げさにする必要があるのか?
彼女は疑問に思いながらスタッフの後ろについて行った。数歩進むと、地面に赤い絨毯が敷かれており、両側には多くの風船や花が飾られていた。一見すると、非常にロマンチックだった。
周囲では既に人々が彼らを指さして話し合っていた。
寺田凛奈は口元を引きつらせて言った。「間違いじゃないですか?」
スタッフは名刺を確認して言った。「寺田凛奈さんですよね?」
「はい。」
「では間違いありません。」スタッフは笑顔で言った。「こちらへどうぞ。」
寺田凛奈:?
彼女は躊躇しながらスタッフの後ろについて行き、尋ねた。「どういうことですか?」
スタッフは口を開いた。「誰かがあなたのためにサプライズを用意しています。今はまだ言えません。」
藤本凜人がサプライズを用意した?
寺田凛奈の最初の反応は、この人はまた調子が悪くなったのか?というものだった。
そして次に、自分がこのサプライズを少し期待していることに気づいた。
寺田凛奈がいろいろと考えているうちに、既に廊下の反対側に到着していた。曲がり角を曲がると、花束を手に持った人が立っているのが見えた。
男性はスーツを着ており、まあまあハンサムに見えた。彼は真っ直ぐに彼女の前に来ると、すぐに片膝をつき、口を開いた。「寺田さん、僕と結婚してください!」
寺田凛奈は一瞬頭の中が「???」で一杯になった。
これはどういう状況?
そして高岡悠彦の両側には、彼の友人たちが立ち並んでいた。今泉唯希も群衆の後ろに立っていた。この瞬間、みんなが拍手し始めた。「結婚して!結婚して!」
この騒ぎに、周りの人々も注目し始めた。みんな足を止めて周りに集まり、一緒になって煽り立てた。「結婚して!」
寺田凛奈は一瞬さらに混乱した!
彼女は一歩後退し、眉をひそめて言った。「人違いじゃないですか?」