寺田洵太は興奮して髪の毛をポケットに入れた。顔を上げると、目の前の男はすでに逃げ去っていた!
寺田洵太はすぐに後悔して頭を叩いた。
寺田家の当主である寺田真治が、寺田さんと三叔父のDNAを比較させたということは、きっと彼らが親子関係にあると疑っているのだろう。
もし本当に親子なら、寺田凛奈は自分のいとこということになる。
さっきの男が自分のいとこに手を出したのだから、捕まえて三叔父に引き渡すべきだった!しかし、この男の身のこなしは確かに敏捷で、力は大きくないが機敏さで勝っていた。
寺田洵太は目を伏せた。京都にこんな人物がいたのか?調べてみる必要がありそうだ!
彼は携帯を取り出し、寺田真治に電話をかけた。「サンプルを手に入れました。」
そして簡単に経緯を説明した。
寺田凛奈が狙われていることを知り、寺田真治の声も少し緊張した。「とりあえず彼女を守ってくれ。もし本当に我々のいとこだったら、何かあってはいけない。」
「わかりました。」
寺田真治はさらに尋ねた。「サンプルはすり替えられてないか?」
「大丈夫です。」
寺田洵太は非常に確信を持って、自信満々に答えた。「彼がサンプルを手に入れてから、ずっと監視していました。その間に彼がすり替える時間はありませんでした。」
「それならいい。」
寺田凛奈は渡辺家に戻ると、大胆な彼女は何の恐怖も危機感も感じず、パソコンを取り出して娘のためにあのスポンサーおじいさんの身元を調べ始めた。
結果!
彼のQQは誰かが暗号化したのか、この人物を特定しようとすると、不可能ではないが、強制的に突破するとハッカーQとしての身元が露呈してしまう。ファイアウォールを破らずに迂回するには、ある程度の時間が必要だ。
寺田凛奈は少し躊躇した後、静かにソフトウェアを終了し、寺田芽にメッセージを送った。「京都の人だということはわかったけど、それ以外はわからなかったわ。」
芽のメッセージはとても速く返ってきた。「ママ、絶対に本気で調べてないでしょ。ママの破れない技術なら、何でも調べられるはずだよ!」
数日会っていなくても、この子はまだまだお世辞が上手だ!