ドアに入るとすぐに、藤本凜人は見慣れた姿が後庭へ素早く走っていくのを見た。
ただ、その姿はスカートを履いているようだった?
藤本凜人の顔色が急に曇り、早足で二、三歩進み、藤本建吾を引っ掴んで、沈んだ声で口を開いた。「建吾、お前は……」
彼は言葉に詰まりながら息子を見つめ、その体の服を剥ぎ取りたいほどだった!
終わりだ。
息子の病状がまた悪化した。
藤本建吾:??
藤本凜人は顔を黒くして、藤本建吾を引っ張って外に出た。
木田柚凪は車の中で待っていたが、突然彼が寺田芽を引っ張って出てくるのを見て、少し驚いた。我に返ると急いで車から降り、叫んだ。「何をしているの?」
藤本凜人は足を止め、困惑した表情で彼女を見た。
木田柚凪はまさに駆け寄って子供を奪い返そうとしていた。
白昼堂々と、こんな風に子供を誘拐するなんて?許せない!
しかし彼女が一歩踏み出そうとしたとき、藤本建吾が大声で叫んだ。「パパ、このおばさんどうしたの?」
木田柚凪:??
パパ???
帰国前に、凛奈から息子を見つけたけど、パパと一緒だから取り返すのは難しいと聞いていたが、もしかしてこれが芽のパパ?
彼女が呆然としている間に、無意識に瀬戸門の入り口を見ると、寺田芽が男の子の服を着て、ドア枠に隠れながらピョンピョン跳ねて手を振っているのが見えた。
木田柚凪は少し呆然とした後、ようやく口を開いた。「……申し訳ありません、人違いでした。」
藤本凜人は彼女を一瞥したが、何も言わず、眉をひそめて藤本建吾を連れて車に乗り、そのまま去っていった。
彼らが去った後、寺田芽がようやく走り出てきた。「干妈、怖かったよ、もう少しでバレるところだった~」
木田柚凪:「……」
帰り道で、寺田芽は必死に懇願した。「干妈、絶対にママに言わないでね、怒られちゃうから!」
木田柚凪が何か言おうとすると、寺田芽はため息をついて言った。「干妈はこんなに綺麗で優しくて、物分かりがいいから、きっと芽の頼みを聞いてくれるよね?芽がお尻ペンペンされるのを見たくないでしょ?やっぱり、干妈は最高の干妈だよ!」
「……」