大型SUVを、寺田凛奈はスポーツカーのように運転していた。
「キッ!」
車は校門の前で止まり、彼女は車を降りて、大股で幼稚園の中へ歩いていった。
今日、芽を迎えに来た福山先生が、そこに立っていた。20代の若い女性で、今は不安そうだった。
初日に子供を学校に送り出したばかりなのに、何かあったとは。保護者はさぞ心配していることだろう。
彼女はそう考えながら近づいていった。「芽ちゃんのお母さん……」
寺田凛奈は彼女の言葉を遮って尋ねた。「子供たちは皆大丈夫ですか?」
福山先生:?
彼女は呆然と答えた。「……はい。」
寺田凛奈は先生について中に入りながら尋ねた。「では先生方も皆大丈夫ですか?」
「……はい、大丈夫です。」
寺田凛奈は一瞬驚いた。「じゃあ、芽が誰かを殴ったんですか?」
彼女は反射的に校門の方を見た。「門衛さん?」
福山先生:???
門衛さんはあんなに大きくて、しかも専門的な腕前の持ち主なのに、芽ちゃんが勝てるわけがない!
あ、違う、話がそれた。
福山先生は焦って言った。「芽ちゃんが気を失ったんです!」
今度は寺田凛奈が驚いた。「嘘でしょ?」
医者として、芽は1ヶ月早産だったけれど、彼女は寺田芽の体を非常に良く調整していた。見た目は痩せ型だが、実際は小さな牛のように丈夫だったのだ!
彼女が?気を失う?
福山先生は呆然としていた。口に出しかけた慰めの言葉も言えなくなってしまった。彼女は強調した。「本当なんです!」
寺田凛奈は興味を持った。「見に行きましょう。」
福山先生は彼女の後ろについていった。「ダンス室にいます。芽ちゃんのお母さん、慌てないでください。あなたの体調が良くないのは知っています。これまで芽ちゃんを育ててきて大変だったでしょう。芽ちゃんは本当に可愛らしい良い子です。今回は必ず責任を追及しますから!」
寺田凛奈:「……」
彼女はようやく気づいた。この先生の芽に対する呼び方が、入園時の寺田実依から、今では「うちの芽ちゃん」に変わっていることに……
だから、今日一体何が起こったのだろう?