高倉海鈴は袋を受け取った。中には服らしきものが入っていた。
開けて見ると、彼女の表情が微妙になった。
中には水着が一式入っていた。ピンクと白の分離型水着で、袖はシースルー素材で軽やかに揺れ、胸元には蝶結びが飾られ、下はピュアホワイトのスカートだった。
ちょうど水着を探していたところだったので、藤原徹が一式持ってきてくれて、サイズもぴったりで、本当に気が利いていた。
高倉海鈴は興奮した表情で、急いでもう一つの袋を見た。その袋は少し埃っぽく、長い間保管されていたように見えた。
中の服を取り出して見ると、この水着は……
小さすぎじゃない?
ドアの外に隠れていた高野広が、こっそり顔を覗かせ、その水着を見て目を丸くした。「うわっ!これ子供用の水着じゃん!社長って、そういう趣味があったの?」
「一年分驚いた!」
高倉海鈴はその水着を手に持ち、同じく驚いた表情で、藤原徹を見て困ったように言った。「買い間違えたんじゃない?」
藤原徹は平然とした様子で、優しく言った。「いいえ、あなたのために買ったんです。」
高倉海鈴は理解できない様子だった。
藤原徹は耳が赤くなっていたが、表情は相変わらず落ち着いていた。「あなたが初めて水に入った時、この水着を買いました。恐怖に立ち向かってほしいと思って。」
高倉海鈴は思い出に浸った。子供の頃、藤原徹の励ましで初めて水に入った時、お兄さんが驚いて抱き上げてしまったことを。
その後、興奮して師匠に報告したけど、師匠は「いいね」とだけ返事をした。あの頃、師匠は忙しそうで、返事が遅いときもあったけど、彼女は飽きることなくメッセージを送り続けた。
高倉海鈴は藤原徹を見上げ、胸が締め付けられるような感覚に襲われ、目が潤んできた。
「覚えていてくれたの。」
藤原徹は優しい眼差しで、「買った後、渡す機会がなかっただけです。」
当時、高倉海鈴が水に入ったことを嬉しそうに墨野静に伝えると、彼は「いいね」とだけ返事をし、ご褒美をあげると言った後、連絡が途絶えた。後になって怪我をしていたことを知った。
その後、高倉海鈴自身もそのご褒美のことを忘れてしまった。
何年も前に、彼はすでにプレゼントを用意していたのだ。