藤原涼介は顔色を変え、「何の権利があって?」と言った。
この香り亭は藤原家の資産ではなく、秋山家の資産なのに、なぜ彼らを追い出すのか?
支配人は冷ややかに言った。「お嬢様の邪魔をしたからです。」
数人が反応する間もなく、警備員たちが駆け寄り、一家を追い出した。
高倉彩芽はどこへ行っても注目の的だったが、こんなに嫌われたのは初めてで、顔が立たなくなり、全身が震えていた。
「香り亭のお嬢様って...聞いたことないわ!」
藤原のお母さんは大声で叫んだ。「離せ!なんてひどい店!客を追い出すなんて!きっと高倉海鈴のやつの仕業よ!」
藤原巌は彼女の態度を見かねて、手を上げて平手打ちをした。
「黙れ!香り亭から公然と追い出されたということは、今後どんなパーティーにも招待されなくなる。つまり新規顧客と知り合うことができなくなる。会社にとってどれだけの損失か分かっているのか?」
藤原のお母さんは頬を押さえながら叫んだ。「こんな重大な結果になるなんて知らなかったわ!私たちは秋山家のお嬢様なんて知らないのよ。きっと高倉海鈴の仕業よ!あの小娘、殺してやる!」
藤原涼介は憂鬱な気分だった。
高倉彩芽と付き合ってから、ずっと運が悪かった。
会社に影響が出て、今度は香り亭からも出入り禁止になった。
高倉彩芽は俯いたまま、目に憎しみを宿していた。このまま引き下がるつもりはなかった。
……
香り亭の中。
藤原明は傲慢に言った。「お前の元カレの一家はバカすぎる。頭おかしいんじゃないの?」
高倉海鈴は頷いた。
藤原明は更に皮肉を言った。「それに、お前の妹、彩芽とかいう名前だっけ?あんな不細工で、わざとらしく弱々しい演技して、マジで吐き気がする!」
高倉海鈴は一つのことが気になって、思わず口を開いた。「藤原明。」
「なんだ?」
高倉海鈴は真剣な表情で「藤原徹を殴ったことあるの?」
藤原明は先ほど皆を嘲笑していた時、藤原徹を殴ったことがあると言っていた。誰を殴れないことがあるのかと。
藤原明は眉をひそめ、最初は気まずそうにしていたが、すぐに目を見開いて「彼が俺を殴った時、俺も抵抗したんだよ。それも殴ったことになるだろ。文句あるか?」
高倉海鈴は「……」