高野広は緊張した表情で、おそるおそる尋ねた。「社長、昨夜、奥様と...」
藤原徹は微笑んで言った。「そうだな、あの服は君からだったな」
男の笑みを見て、高野広は背筋が凍る思いで、震える声で言った。「社長、これは全て社長のためなんです。私の忠誠心を信じて、今回だけは許してください...」
「センスはいいな。給料は減らさないでおこう」藤原徹は眉を上げ、目に笑みを浮かべた。
高野広：「...」
減らさない？社長は自分のプレゼントに満足してくれたようだ。
それを聞いて、高野広はほっと安堵の息をつき、つい調子に乗って興奮気味に言った。「社長、気に入ってくれて良かったです。でも、気に入っても仕方ないですよ。奥様は社長のテクニックに不満があるみたいで、せっかく用意した寝間着が台無しですよ！」
...
空気が一気に凍りついた。
藤原徹の目が危険な光を放っていた。
昨夜、自制したことが、藤原奥様の目には不能と映ったというのか？
藤原徹は冷笑を浮かべながら、高野広をさらりと見つめ、淡々と言った。「給料が要らないなら、その願いを叶えてやろう」
高野広：「？」
自分は奥様の言葉を伝えただけなのに、なぜまた給料を減らされるんだ！
...
その後数日間、高倉海鈴は藤原徹を見るたびに、彼の不能のことを思い出してしまう。
あの日、自分は覚悟を決めたのに、藤原徹は結局駄目だった。
彼女は藤原徹に会うのが恥ずかしくて、毎日学校で残業し、帰宅後はすぐに二階に上がり、藤原徹との接触を避けていた。
高野広は焦りまくって、早く藤原徹を連れて治療に行きたい気持ちでいっぱいだった。
頭が爆発しそうになりながらも、解決策が見つからなかった。
そのとき、執事が入ってきて、「社長が奥様のために注文したドレスが届きました。八尾さんがもう外で待っています」
高野広は膝を叩いた。そうだ、ドレスがあった！あれこそが社長から奥様への本当のプレゼントだ！
八尾夢子がデザインしたドレスは全て高級品で、一着でも十数万円はする。しかも予約も取りにくいのに、今回は一度に十六着も！
確かに八尾夢子は山内正には及ばないが、それでも有名なデザイナーだ。まさか自らドレスを届けに来るとは。
