高倉国生は興奮で両手が震えていた。この秋山先生は某大物の正統な弟子で、若くして有能、国際的にも非常に有名で、提携している企業も全て国際的な大手だった。そんな彼が今、高倉グループと提携したいと言うのだ。高倉国生が興奮しないはずがない!
彼はあまりにも興奮していたため、傍らに立っている高倉海鈴の存在に全く気付かず、秋山を取り巻きながら上階へと向かった。秋山も丁度上階で用事があったため、高倉国生の取り入るような行動を拒まなかった。
10分後、高倉国生と秋山が上階から降りてきた時、高倉国生は高倉海鈴と、その傍らで涙を流し続ける高倉彩芽の姿を目にした。彼の怒りは瞬時に爆発した。
高倉海鈴のこの不肖の娘が、高倉グループまで来て彩芽をいじめるとは!ここが彼女の来れる場所だと思っているのか?!最も重要なのは、高倉国生は秋山が高倉グループとの提携を選んだのは、彩芽の潜在能力を見込んでのことだと考えていた。彼は彩芽のために高倉グループとの提携を承諾したのだと。
それなのに今、高倉海鈴が彩芽をいじめているなんて、秋山先生がこれを見たらどう思うだろう?高倉海鈴のこの不肖の娘は、毎日のように彼に面倒をかけてばかりだ!
彼は怒りに任せて前に進み出た。秋山は彼の背中を見て嘲笑うように笑った。
……
高倉海鈴はしばらく待ったが、三兄は降りてこなかったので、自分で涼しい場所を見つけて腰を下ろした。そのとき、耳元で意地の悪い声が響いた。
「高倉海鈴さん、どうしてここに座ってるの?早く中に入ったら?それとも高倉グループの警備員に入れてもらえなかったの?まあ、入れてもらえないのも当然よね。ここはあなたの来れる場所じゃないもの」久保朱里は高倉彩芽の腕を組み、二人とも贅沢で洗練された装いで、高倉海鈴に対して上から目線で話しかけた。
久保朱里は冷ややかに鼻を鳴らした。「やっぱり私たちの彩芽は優秀よ。まだ卒業前なのに高倉グループの副社長になったんだもの。ある人たちは自分の立場をよく理解しないといけないわね。どこに行っていいのか、どこに行っちゃいけないのか、よく見極めないと。追い出されでもしたら恥ずかしいでしょう」
高倉海鈴は顔を上げた。