以前日出秀が処方した軟膏には何の問題もなかったのですが、その中の三つの生薬がペスト菌株配列のE484Qと拮抗していたため、藤若様の心拍数が低下してしまったのです。
これは池田滝が先ほど送ってきた最新情報です。
菌株の変異により、藤若様の皮膚の潰瘍は、ペストによる皮膚潰瘍とは若干異なる様相を呈しており、当然投薬も異なってきます。
「はい」
日出秀は頷き、藤若様の傷の手当てを始めました。
鈴木月瑠は両手で同時に、銀針を流星のように藤若様の前胸部や下腹部などのツボに刺していきました。
他の銀針は常に藤若様の心脈を守り続けています。
藤若様の手のひらと足の裏の銀針の周りから、血が少し滲み出てきました。
血は最初鮮紅色でしたが、やがて暗赤色に変わり、最後には黒青色になり、まるで体に塗られた絵の具のようで、さらに奇妙な酸っぱい匂いを放っていました。
鈴木月瑠は絶え間なく針を打ち続けながら、冷たく言いました:「エアコンを暖房モードに切り替えて、温度は高ければ高いほどいい」
藤家当主は急いで冷房モードを暖房に切り替え、温度を高く設定しました。
皆は炉の中にいるかのように感じ、蒸し暑く、汗が止めどなく流れ落ちました。
温度が上がるにつれて、藤若様の体からの出血が早くなり、赤い血が流れ出すまで続き、そこで鈴木月瑠は針を抜き、エアコンを冷房モードに戻しました。
「鈴木お嬢さん、ありがとうございます、本当にありがとうございます、どのようにお礼を申し上げればよいのか」藤家当主は感動で涙を流しました。
まさか、本当にまさか、こんな若い女の子が、あの有名な医師日出秀の師匠で、さらにMX研究院の副院長斎藤旻とも関係があるとは。
このことが広まれば、必ず帝都に大きな波紋を呼ぶことでしょう。
「ゴホッ、ゴホッ...」
そこに横たわっていた藤若様が突然咳き込み、一瞬意識が戻った後、また昏睡状態に陥りました。
「息子、息子...」
藤家当主は息子が再び息も絶え絶えになるのを見て、慌てふためきました:「鈴木お嬢さん、どうしてこうなるのですか?」
鈴木月瑠は軟膏を塗りながら:「痛みで一時的に意識が戻っただけです」