鈴木月瑠はバッグから鍼灸セットを取り出し、消毒して素早く針を打った。鬼門十三針を使用し、藤若様の経絡を活性化させ、寒気を取り除き、熱を下げた。
ピッピッ。
心拍数が突然23まで上昇したが、それ以上は上がらなかった。
皆の心臓が喉まで飛び出しそうだった。
鈴木月瑠は綿棒で藤若様の化膿した傷口を拭い、綿棒が膿で濡れてから、それを隔離袋に入れ、日出秀に渡した。「四津にメッセージを送って、中東で発生したこの種の病気について調べてもらって。毒株の資料を入手できるか聞いて、袋の中の配列も分析してもらって」
「月瑠姉、つまり……」日出秀の表情が急に変わった。
藤若様のこの症状も皮膚潰瘍の一種で、外傷による微生物感染と神経機能障害によって引き起こされた皮膚組織欠損性の外傷性潰瘍だった。
通常、物理的・化学的要因が直接組織に作用して引き起こされる。
日出秀は数年前、中東でペストが流行したことを思い出した。
人間がペスト菌を持つノミに刺されると、ペスト菌が皮膚から体内に入り、リンパ節で増殖して急性リンパ節炎を引き起こし、極度に腫れ上がる。
これがリンパ腺ペストである。
適切な治療を受けなければ、さらにリンパ系を通じて広がり、他のリンパ節も侵す。
ペスト菌とその内毒素は、リンパ循環系を通じて血液循環に入り、敗血症を引き起こし、重度の中毒症状が現れ、深刻な皮膚粘膜出血などの症状を示す。
日出秀も当時、海外支援の医師の一人として、中東のペストの流行を目の当たりにし、一部の症状が藤坊ちゃんの症状と似ていた。
しかし日出秀は、中東のペストは既に解決済みで、藤坊ちゃんの症状は似ているだけだと考え、この可能性を除外していた。
しかし思いがけないことに、鈴木月瑠が池田滝にペスト菌株の遺伝子配列を調べるよう指示したのだ!
藤坊ちゃんとペストに何か関係があるのだろうか?
しかし藤坊ちゃんはどこにも行っていないのに、どうしてこれと関係があるのだろう?
「状況が異なっているので、徹底的な調査が必要です」
鈴木月瑠の口調は非常に重々しく、最初は、ペスト菌株が変異して藤若様がこのような状態になったと判断していた。
しかし実際はそうではなかった!
彼女は何かがおかしいと感じていた。