そして、彼の股間を百里紅裳が思い切り蹴り上げた。その一撃は極めて正確で、栗本哲也は即座に腰を折り曲げ、その部分を押さえた。
しかし、その痛みは少し遅れてやってきた。栗本哲也が痛みを感じ始めた時、髪の毛を百里紅裳に掴まれていた。
百里紅裳は栗本哲也の頭を下に引っ張り、そして膝を上げて、彼の醜い顔面に思い切りぶつけた。
動きは素早く、一気呵成で、まるで流水のようだった。
栗本哲也は悲鳴を上げ、後ろに退いた。口からは血が溢れていた。
顔も股間も激痛が走り、栗本哲也は二十数年の人生で、こんなに惨めな思いをしたことはなかった。痛みのあまり、どこを押さえればいいのかわからなかった。
顔を押さえれば下が痛み、下を押さえれば顔が耐えられないほど痛む。
栗本哲也は体を縮こまらせながらその場でぐるぐると回り、まるでサーカスの猿のようだった。
百里紅裳は凛として立ち、艶やかな顔立ちは冷たく、一言一句冷酷に言い放った:「もう一度やったら、宦官にしてやるわ!」
栗本哲也は痛みのあまり罵詈雑言を吐き始め、突然跳ね上がって、百里紅裳を引き裂かんばかりの勢いで叫んだ:「この淫賤な女め、今日こそ殺してやる!」
彼は痛みを堪えながら、百里紅裳に向かって飛びかかった。
百里紅裳が栗本哲也を蹴り飛ばそうとした時、突然誰かに後ろへ引っ張られるのを感じた。
慌てて振り返ると、中村少華が険しい表情で立っているのが見えた。彼女は彼の後ろに引かれ、そして彼は淡々と足を伸ばし、栗本哲也を一メートル以上も吹き飛ばした。
栗本哲也は腹と股間を押さえながら、後ずさりを続け、壁に寄りかかってようやく止まった。
中村少華は栗本哲也を見て、冷笑した:「栗本次男さん、そんな振る舞いは人としてどうかと思いますよ。裳のような弱い女性を虐めて何になります?」
「みんなを呼んで、栗本次男さんが無力な少女をどのように虐めているか、見てもらいましょうか?」
無力?
栗本哲也は怒りで血を吐きそうになった。
百里紅裳が弱い女性なら、自分は女々しい男だ。さっきの百里紅裳の身のこなしは、中村少華と変わらないほどだった。
中村少華は百里紅裳の赤くなった手首を見て、漆黒の瞳に次第に殺気が宿っていった。