久我父さんはしばらく反応できなかったが、やっと気づいて、テーブルを叩きながら、怒って一橋逸飛を睨みつけた。「子供の結婚は親の命令と仲人の言葉によるものだ。お前は結婚を遊び事だと思っているのか!」
「たとえ婚約を解消するとしても、たとえお前の両親が同意したとしても、両親が直接来て解消すべきだ。後輩のお前がこんなことを言う立場じゃない!」
「お前は私の娘と何年も付き合ってきて、こんな簡単に婚約を解消するのか?私の娘を何だと思っているんだ?」
久我父さんも不安で落ち着かなかった。
会社は既に下り坂で、一橋家との婚約解消のニュースが突然広まれば、会社は終わりだ。
以前、鈴木敏との契約では、この数年間使っていたのは全て会社の配当金だった。
名目上は会社の会長だが、実際には、会社は他の人が裏で決定権を持っていた。
年間5パーセントの配当金以外は、久我父さんとは全く関係がなかった。
以前、久我月が会社を取り戻すと言い、弁護士が既に連絡してきていた。久我父さんは逆らえず、まだ久我羽が一橋家に嫁ぐことで、本当の金持ちの生活を味わえることを期待していた。
一橋逸飛は無関心そうに肩をすくめ、淡々と言った。「両親は忙しく、祖父母は高齢なので、来られません。伯父さんが信じられないなら、直接一橋家に行って確かめてください。」
「それに、もし久我羽に損失があると言うなら、きちんと計算してみましょう。」
「私と久我羽はこれまで何年も一緒にいて、彼女の青春も私の青春も過ぎ去りました。これは相殺できます。」
「私は毎月久我羽に100万円の小遣いを渡し、年末年始や誕生日、記念日にはブランドのオーダーメイドギフトを贈り、これらは100万円からです。」
「食事も毎回私が支払っています。」
「伯父さん伯母さんで計算してみてください。この数年間、私が久我羽にいくら使い、久我羽が私にいくら使ったか。」
久我父さんと松原蘭は心虚になった。彼らはもちろん計算する勇気がなかった。
正直に言えば、久我羽は一橋逸飛にお金を使ったことはなく、せいぜい数年間一緒に寝ただけだった。
しかし一橋逸飛の久我羽への出費は大きく、寝る代価としても十分すぎるほどだった。