「いやよ」百里紅裳は彼に向かって顔をしかめ、彼の腕にしがみついて、小鳥のように甘えた。
そのとき、おばさんが朝食を持ってきた。
百里紅裳は片手に二つずつ、四つの肉まんを取って、大きく一口かじり、とても嬉しそうに食べた。
「まだ朝ご飯食べてないでしょう?食べる?」
百里紅裳は中村少華もまだ食事をしていないと思い、左手の二つの肉まんを差し出した。「これはまだ食べてないから、あげるわ」
中村少華は軽く咳払いをして:「結構です」
突然携帯の着信音が鳴り、中村少華が出ないので、百里紅裳が声をかけた:「携帯鳴ってるわよ、ずっと」
「ああ」
中村少華は「ああ」と言って、携帯を取り出して一目見た後、電話を切った。
百里紅裳:「……」
……
竹内北が久我月を別荘に送り届けたところで、久我月は見知らぬ番号から電話を受けた。眉をひそめながら電話に出た。
向こうから軽薄な声が聞こえてきた:「ハロー!久我月ちゃんですか?私、松本ですが、覚えてますか?」
久我月:「……」
久我月が何も言わないうちに、松本旻は馴れ馴れしく言った:「やっぱり僕のことを覚えているんですよね」
久我月:「……」
もう何を言えばいいの?
久我月の声が聞こえないのに、松本旻は気にせず続けた:「昨夜は七男の若様のところで寝たって聞きましたけど?もう帰ってきたんですか?」
久我月は内心呆れながらも、良心に背いて褒めた:「情報通なのね、すごく早いわ」
「まあまあです!」
松本旻は謙虚に笑いながら、ようやく本題に入った:「でも、昨夜七男の若様に送ったあの動画、僕も偶然聞いちゃったんですよ……ちょっとR指定な感じでしたけど、でも、ストレートで無駄がない、素晴らしいと言わざるを得ません。他にもそういう動画ありますか?」
久我月:「……」
「何て言ったの?R指定?」
久我月は呆然とした。
実験動画のはずなのに、どうしてR指定になるの?R指定という言葉に、何か誤解があるのかしら?