久我月も漢方医学に詳しいと聞いて、特に鈴木敏の娘だということで、一橋しんていは一橋貴明が久我月を呼んで治療させることに同意した。
思いがけず、久我月はお婆様を治療することができたのに、最後には自分の孫娘の手によって台無しにされてしまった。
今回、長男家は一言も言えなかった。
一橋しんていが戻ってくるのを見て、みんな頭を下げて、口を閉ざした。
一橋しんていは長男家の人々を見て、一橋貴明に言った:「お婆様の体調が良くないし、今回も手術を受けたから、一橋嬌のことは、まだ言わないでおこう。」
「でも、一橋嬌には自分の過ちを知らせなければならない。」
一橋家は昔から賞罰がはっきりしていて、過ちを犯した者は、たとえ長男家の嫡出の令嬢でも、罰を受けなければならない。
一橋逸飛は本来口を開く勇気がなかったが、久我月のことを思うと、歯を食いしばって近づき、さりげなく言った:「おじさん、後でお婆様の手術が終わったら、私が久我月を送り届けましょう。あなたは長老なので、彼女を送るのは相応しくありません。」
一橋貴明:「……」
この甥は本当に目障りだ。一橋逸飛が甥だということがなければ、とっくに追い出していただろう。
「逸飛、黙りなさい!」小口芯は声を押し殺して叱った。
この子ったら、本当に余計なことを言うものだ!
確かに長幼の序はあるが、鈴木敏というあの老狐は、一橋しんていの心の中の月なのだ。
手を出してはいけない存在。
一橋三男奥様は大橋伊華だが、一橋しんていがこの女性を特別好きというわけでもなく、心の中にはやはり鈴木敏がいる。
もともと一橋しんていは久我月が鈴木敏の娘だと知らなかったが、一橋貴明は父親の了解を得たかったので、このことを彼に告げた。
一橋しんていという男は、まさに真の君子というべきで、久我月が鈴木敏と久我父さんというダメ人間との間の子だと知っても、久我月に肩入れするだろう。
まだ会ったこともないのに、この前から久我月のことを随分と褒めていた。
そして鈴木敏と一橋しんていは同世代なので、久我月は当然一橋貴明と同世代ということになる。小口芯はほとんど想像できた、一橋しんていがこの後何を言うか。
案の定——