彼女は落ち着かない様子で眠り、眉間にしわを寄せたまま、彼の胸元に潜り込もうとしていた。
鈴木静海は深いため息をつき、中村楽を抱きしめたが、もう眠れなくなってしまった。
中村楽は寝相が悪く、彼に手足を絡ませてきた。鈴木静海はもう眠気が完全に覚めてしまい、何か余計なことをしてしまわないよう、彼女を少し横にずらした。
しかし彼女は暖かさがなくなったことを感じ取り、また暖かい場所に近づいてきて、手足を動かしていた。
鈴木静海は完全に固まってしまい、動くことすらできなかった。中村楽を起こしてしまうのが怖くなければ、きっと彼女を押しのけていただろう。
中村楽は夜中に凍え死ぬかと思っていたのに、隣に暖かい暖房があったおかげで、ぐっすりと眠れた。
一方、鈴木静海は。
天井を見つめたまま夜が明けるまで、一睡もできなかった。
翌日、中村楽が目を覚ますと、自分が主寝室で寝ていることに気づき、呆然として急いで起き上がった。
昨夜は確かに客室で寝ていたはずで、エアコンの布団にくるまっていたのに、どうして主寝室にいるのだろう?
鈴木静海は?
中村楽は完全に呆然として、頭の中が混乱していた。
彼女がベッドに来た時、鈴木静海はどこにいたの?彼もベッドで寝ていたの?
幸い、パジャマは無事で、夜中も特に変わったことは感じなかった。ただ暖炉の夢を見ただけ。
暖炉……
もしかして、鈴木静海があの暖炉だったの?
そのことに気づいた時、中村楽はこめかみがズキズキして、死にたくなるほど恥ずかしかった。
でも鈴木静海は半分紳士だし、特に今の二人の関係では、彼女に何かするはずがない。
中村楽は携帯を見ると、すでに9時になっていた。伊藤哲に休暇の電話をしようとしたが、今日は土曜日だったことを思い出した。
ほっとした後、中村楽は服を着替えて歯を磨き、顔を洗った。
鈴木静海は既に朝食を用意していて、保温容器で温めていた。中村楽は心が温かくなった。
朝食を食べている時、彼女は突然深刻な問題を思い出し、携帯を取り出して山中希美に電話をかけた。
電話はしばらくしてから繋がった。山中希美は仕事中だったが、中村楽からの電話を見て仕事を中断した。