しかし、なぜか、なだめれば慰めるほど、月瑠の表情は悪くなっていった。
小池大御爺さんは気まずそうに軽く咳払いをして、尋ねた。「あの、その...貴明はいったいどんな病気なんだ?お腹を壊したのかな?いや、それにしても気絶するほどじゃないはずだが...」
久我月は冷淡に言った。「まあ、そんなところです。薬を間違えて飲んでしまったんです。日本基地中央研究所の、まだ試験段階のカプセルをご存知ですよね?」
小池大御爺さんはもちろん知っていた。
このカプセルはまだ試験段階だが、新しく栽培された五種類の漢方薬から製造されたもので、臨床試験の段階にも至っていない。聞くところによると、かなり毒性の強い薬だという。
長男の孫は研究所の研究員だが、次男の孫は出世が遅く、今でも国家機密システムの課長級の役人に過ぎず、研究なんて格の高い仕事には就けていない。
「えっ?もしかして貴明兄が気を失ったのは、そのカプセルを飲んだせいなのか?」
小池大御爺さんは焦って言った。「でも、長男の孫からは研究所でカプセルが紛失したなんて聞いていないが、どうして...」
焦りながらも、老人の心の中では察しがついていた。
この前、貴明に女の子を追いかける方法を自分で考えるように言ったが、きっとこれは、あの馬鹿者が仕出かしたことに違いない!
毒まで飲むなんて!
「大丈夫です。後で長男のお孫さんに、カプセルが減っていないか確認してもらえばいいでしょう。」
久我月は眉を少し上げて続けた。「私は鍼灸で貴明の体内の毒を排出させました。今は大丈夫ですが、まだ体内に残留毒素が...」
小池大御爺さんは弱々しく彼女の言葉を遮った。「ちょっと待って、月瑠...貴...貴明?誰のことを言ってるんだ?」
ほとんど震える声で尋ねた。
久我月は「こんなにはっきり言っているのに分からないんですか?貴明はあなたの大甥孫、私の大甥です。」
「…………」
小池大御爺さんは複雑な表情で久我月を見つめた。
どうして大甥になったんだ?
心の中で三秒間叫んだ後、崩壊しそうな声で久我月の考えを変えようと試みた。「あの、月瑠、ほら、貴明兄と...」