七男の若様は漆黑の瞳に光を宿し、片手でテーブルを支えながら立ち上がり、窓際まで歩いて行き、薄い唇を噛んで言った。「カプセルを無くした!」
小池紀寒:「!!!」
な...なくした?
カプセルを無くしただけならまだしも、よくもそんな堂々と言えたものだ?
「ふざけるな!」
小池紀寒は怒りのあまりテーブルをひっくり返しそうになり、礼儀作法も何もかも吹っ飛んだ:「兄貴がこのことを知ったら、俺の足を折るに決まってる。よくもそんな当然のように言えるな?」
一橋貴明は目尻を上げ、淡々と言った:「折れたら折れたで、生きてさえいればいい」
小池紀寒は怒りで太陽穴がズキズキし、我慢の限界に達して、声を潜めて尋ねた:「...どこに無くしたんだ?見つけられないのか!」
陽光が一橋貴明の顔に落ち、彼の表情は明暗を行き来し、いつもの調子で言った:「もう見つからない、お腹の中だ」
小池紀寒:「???」
...
林竹美は百里紅裳と一日中遊び、買い物に行ったりカラオケに行ったりして、夕方になってようやく運転手に少女を中村少華の別荘まで送らせた。
別荘に送る前に、彼女は別荘の管理人である藤田さんに一報入れた。
ワゴン車が別荘の門前に着くと、藤田さんが直接出迎えに来て、車から七つの大きな荷物を降ろした。全て女の子の持ち物だった。
これは、別荘に長期滞在するつもりということか?
そうなると次郎様はすぐにも...
使用人は百里紅裳の荷物を二階の主寝室の隣の部屋に運び入れた。
夜の八時頃、中村少華が帰ってきた。
ソファーに座ってドラマを見ている彼女を見て、彼の太陽穴が激しく脈打った。
まさに付きまとい!
付きまとう厄介な少女はノートパソコンを抱えて、足を組んで座り、メロドラマに夢中になっていた。小さな手は絶え間なくお菓子を口に運んでいた。
この角度から見ると、クリスタルシャンデリアの清らかな光が降り注ぎ、古典的な趣のある顔立ちで、笑うと両頬にえくぼができた。
まさに360度死角なしだな!
中村静加はそう思いながら、こんなに可愛い子を、なぜうちの次男は気に入らないんだろう?
彼は次男の方を見て、眉を上げ、意味深に笑った:「ほら、朝言った通りだろう?」