この根も葉もない罪を着せられ、大橋伊華の顔色が一変した。
彼女は知っていた。長男家は後継者の座を失ったことで、三男家に恨みを抱き、常に三男家の足を引っ張ろうとしていた。
今回、七郎が突然若い娘を連れてきて治療させようとしたことで、長男家はついに弱みを握ったのだ。
もし偶然にも老夫人の病が治れば問題ないが、久我月の医術が未熟で老夫人を死なせてしまったら、三男家は終わりだ。
大橋伊華も久我月のことは嫌いだったが、今この重要な時期に、長男家に濡れ衣を着せられるのは御免だった。
彼女は大奥様を一瞥し、冷ややかに言った。「お姉様、一橋嬌が優秀なのは分かっていますが、それでも老夫人を治せなかったではありませんか!」
「久我月がそれほど自信があるなら、試させてみては?」
「お姉様と一橋嬌が久我月の治療を邪魔するのは、老夫人に死んでもらいたいということですか?」
大橋伊華は即座にその罪を跳ね返した。彼女は医者の治療を妨げてはいない。久我月を信用していないとはいえ、もし今老夫人に何かあれば。
それはすべて長男家の過ちになる。母娘が勝手に飛び出していったのだから。
その言葉を聞いて、大奥様と一橋嬌の顔色が変わった。
一橋嬌は久我月に手首を痛く掴まれ、振り払おうとしたが、腕に全く力が入らず、しびれて動かなかった。
「久我月、離しなさい!」彼女は怒りの目を向けた。
久我月は意図的に一橋嬌のツボを押さえ、冷たい目で見つめた。彼女が不機嫌になると、目の中に赤い血走りが現れる。
今、彼女の目には赤い血管が浮かび、少し上がった目尻は狂気と冷酷さを帯びていた。「あなたをここに残したのは、中医学とは何かを見せるためで、素人が知ったかぶりをするためではありません。」
湧泉穴で安寧を定める。老夫人は脳出血だけでなく、高血圧もある。湧泉穴と百会を刺すのは上下を通じさせるためだ。
一橋嬌は久我月に突き放され、険しい表情を浮かべた。「素人なのはあなたの方よ。こんな方法、脳出血の治療で足の裏から放血するなんて聞いたことないわ!」
「おばあ様に何かあったら、あなたを刑務所に入れてやるわ!」
「見たことがないのは、あなたの見識が狭いからです。」