彼は寝室に戻って服を着替え、百里紅裳がテレビを見ているのを見た。携帯の時間を確認して言った。「今から病院に行くから、君も一緒に来て」
この少女は本当に不思議だった。あんな高いところから落ちたのに、まったく無傷なのだ。彼はこの件について必ず解明しなければならなかった。
しかも、これは二人目の不可解な少女だった。
一人目は...彼らの家の親愛なる姉さんだ!
姉が魂の交換ができると知った時、彼は姉を研究室に連れて行って検査したが、何も分からなかった。まるで幽霊でも見たかのようだった。
その後は...
その後何もなかった。
百里紅裳が頷こうとした時、突然病院が怖いという記憶が頭をよぎり、思わず首を振った。「嫌です。行きたくありません。疲れています」
中村沛里は誘うように言った。「病院に来てくれたら、今夜次男に会わせてあげる」
「今すぐ行きましょう」
百里紅裳は椅子から飛び上がるように立ち上がった。イケメンが目の前にいるなら、病院なんて気にしていられない。
...
中村楽が目を覚ましたのは、ちょうど7時だった。
彼女の生活リズムは規則正しく、海外にいた時も朝7時に起きてジョギングをしていた。帰国してからようやく時差ボケが治ったところだった。
しかし今は鈴木静海の家にいるため、少し寝ぼけていた。
布団には鈴木静海の匂いが染み付いていた。何度も使用された布団だ。中村楽は瞬きをして、突然心が慌ただしくなった。
彼女は携帯を取り出して久我月にLINEを送ったが、数分経っても返信がなかった。まだ寝ているのだろう。
久我月が寝坊好きなのを知っていたので、中村楽はこれ以上邪魔しないことにした。起き上がって身支度を整えると、彼女は相変わらず鈴木静海の白いシャツを着ていた。
以前は隠れ園に彼女の服がたくさんあったが、6年が経ち、ここには彼女の物は何も残っていなかった。だから昨夜は鈴木静海のシャツを着て寝るしかなかった。
実は中村楽が知らないことだが、隣の衣装部屋には彼女のサイズに合った服がたくさん用意されていた。
中村楽がブラを取ろうとした時、突然全ての服が消えていることに気付いた!!
彼女は呆然とした。