老人が書斎から出てきた。七十歳の年齢だが、髪はほんの少し白くなっただけで、茶色の唐装は威厳に満ちており、両目は鋭く輝いていた。
「お爺様」中村少華と中村静加はすぐに立ち上がり、老人を見つめた。
老人が保っていた厳しい表情は一瞬にして崩れ、二人の肩を叩きながら言った：
「よし、お前たち二人が帰ってきてくれて。朝早くからあの連中を見るよりずっといい。この爺さんの胃も荒れずに済む」
彼が言う「あの連中」とは、長男家族のことだった。
老人は長男夫婦に対して、まさに深い憎しみを抱いていた。特に彼らが中村楽を追い出してからは、老人は彼らとほぼ絶縁状態だった。
長男家族は近年、厚かましくも屋敷に来ていたが、老人は彼らを快く思っていなかったものの、屋敷の使用人や次男家族もいることから、長男家族を完全に追い払うわけにもいかなかった。
結局のところ、骨は折れても筋は繋がっているのだから。
朝食は簡単な中華式で、肉まんと油条、白粥に数品の軽い副菜だった。
「お前の姉さんが帰ってきたと言っていたじゃないか。どうして連れて来ないんだ？」老人は中村少華を期待に満ちた目で見つめ、中村楽のことを思い出して胸を痛めた。
当時、中村楽がアメリカで事故に遭ったという知らせを受けた時、老人は激しいショックで倒れ、三ヶ月も病床に伏せった。後に歩けるようになってからも、中村楽の部屋に座り込んで一日中過ごしていた。
さらに老人が回復した時には、鈴木家まで行って鈴木静海を散々罵倒し、両家の者たちが止めなければ、家を壊すところだった。
中村少華は老人を一瞥し、淡々と言った：「姉さんは警察署の刑事課で法医をしています。最近、鈴木家で事件があったでしょう。まだ事件の処理をしているんです」
「……鈴木家？また鈴木静海のあの小僧と関わっているのか？」老人は目を見開き、その様子は鈴木静海を飲み込みたいかのようだった。
彼らの家系は男系が強く、ほとんどが男の子で、女の子は数人しかいなかった。老人は女の子たちを掌の上で転がすように大切にし、とても可愛がっていた。
特に中村楽の性格は、老人が若かった頃と瓜二つで、老人は中村楽を最も可愛がっていた。
