中村静加と中村沛里は目を合わせ、兄弟二人は同時にゴクリと唾を飲み込んだ。その目つきは同じことを表していた。
マジかよ!
俺の目は見間違えてないよな?世界が終わるんじゃないのか?生きているうちに、次男が当て逃げ女子にからかわれるなんて!
百里紅裳が中村少華の美しい容姿に見とれている時、鉄のような硬い大きな手が、突然彼女の白い手首を掴んだ。
その力加減は、彼女の手首を折りそうなほどだった。
なんて薄情なお兄さんなの~
百里紅裳は心の中で思いながら、タコのように中村少華にしがみついて、首を振りながら甘えた声で「痛い~~」と言った。
「!!!」
中村少華は眉間を震わせながら怒りを抑え、手に力を込めて彼女を引き離した。
百里紅裳は抵抗する暇もなく、一瞬で中村少華にベッドに投げ飛ばされた。
彼が何か言おうとした時、百里紅裳が突然飛びかかってきて、中村少華のバスタオルを掴み、可愛らしく上目遣いで「お兄さん、ひどいよ」と言った。
お兄さん~
この甘えた声に、中村静加と中村沛里の耳まで蕩けそうになった。
しかし、彼らの家の次男の若様は...相変わらず冷酷だった!
中村少華は冷たく叫んだ。「離せ!」
「いやよ!」
百里紅裳は首を振った。
中村少華は怒りを抑えながら立ち去ろうとしたが、自分のバスタオルが百里紅裳に掴まれていることを完全に忘れていた。
百里紅裳は彼が去ろうとするのを見て、バスタオルを離そうとしなかった。
そして...
一人が立ち去ろうとし、もう一人が引っ張り続けた結果...次郎様が動いた瞬間、バスタオルは華麗に百里紅裳の手に残った!
中村少華「......」
中村沛里と中村静加は目を丸くし、口は卵を5、6個入れられるほど開いていた。心の中には一つの考えしかなかった:マママママ...マジかよ!
彼らは何を見てしまったんだ?
正直なところ...次男はなかなかの物を持っているようだ。
元凶の百里紅裳は何が起きたのかまったく気付かず、バスタオルを揺らしながら、潤んだ大きな目をパチパチさせ、無邪気な表情を浮かべていた。
中村少華は怒りたくても怒れなくなり、我慢の限界で罵声を吐いた。