「月瑠、ずっと聞きたいことがあるんだけど」一橋貴明はゆっくりと語尾を引き延ばしながら、久我月に向かって眉を上げた。
「どうぞ」
久我月は不思議そうに彼を見つめ、小さな頭の上には疑問符が浮かんでいた。
一橋貴明は久我月の顔に視線を固定させ、声を落として尋ねた。「あなたの遺伝子配列に、恥ずかしがるという項目はないのかな?」
「ずっとあなたを見つめていても、顔を赤らめないの?」
彼はゆっくりと言葉を紡ぎ、その鋭い瞳に薄い笑みを浮かべながら、何気ない声で話した。
久我月:「……」
中村少華:「……」
松本旻:「……」
久我月は一橋貴明を頭からつま先まで見渡し、口角を上げながら、不良っぽく野性的に答えた。「人体は化学元素で構成されていて、60種類以上あります。これはミクロの視点で、マクロの視点から見ると、人体は五臓六腑、骨格、皮膚などの器官で構成されています」
「つまり、私の目には、あなたは単なる人体器官の集まりにすぎないということです」
彼女は整った眉目を上げながら一橋貴明を見つめ、瞳には少年のような反抗的な色が宿っていた。「おじさんは普段、器官の集まりに対して顔を赤らめたりするんですか?」
一橋貴明は言葉を失った。
前の二人は笑いを堪えきれなかった。
くそっ……
今まで誰も七男の若様をこんな風に言い返したことがなかった!
まさに痛快この上ない。
久我月は突然手を伸ばして一橋貴明の額に触れ、黒白はっきりとした瞳は純粋そのものだった。「こんな変なことを聞くなんて、もしかして具合でも悪いんですか?」
一橋貴明は一瞬固まった。
額を女性に触れられたのは初めてだった。
もちろん、母親は除いて。
少女の手のひらはとても柔らかく、触り心地が良かったが、指の腹の部分が少し荒れていた。彼の経験からすると、それは武器を長年使用していた跡のようだった。
彼は久我月には多くの別の顔があることを知っていたが、少女の手が彼の額に触れた時、言い表せない感覚に襲われた。
しかし...心地よかった。
七男の若様が十分に楽しむ間もなく、久我月は手を下ろした。