こちらで、店員は恭しくブラックカードを久我月に返した。
「久我月様、上からの通知により、この二本のネックレスはそのままお持ち帰りいただけます。先ほどブラックカードでお支払いいただいたのは、スーパーVIPの手続きをさせていただいたためで、ポイントは後ほど付与されます」
このブラックカードが何を象徴しているのか、彼女が知らないはずがない。
「聞き間違いじゃないでしょうね?」
さすがの久我羽も落ち着きを失い、絡み合う両手が震えていた。「姉さんは田舎から戻ってきたばかりなのに、どうしてこんなブラックカードを持っているの?」
「お姉さん、あなた...どこかでこのカードを拾ったの?言ってくれれば、私が全力で助けるわ!」
彼女は真摯に久我月を見つめた。まるでそのカードが久我月の盗んだものであるかのように。
「ちっ」
久我月は少し顔を上げて久我羽を一瞥し、その目には隠すことのない傲慢さが宿っていた。「頭が悪いと言われても、本当に頭が悪いわね」
店員は面白そうに久我羽を見ながら、皮肉を込めて言った。「久我羽様、このカードを所持できる方は、裕福か高貴な身分の方に限られます。そのようなカードが落とされるはずがありません」
なぜこのカードが世界中でたった二十枚しかないのか?
それは、このカードが限度額のない預金カードとクレジットカードであり、最高級の権力者か、国家に対して傑出した貢献をした人物のみが所持できるからだ。
久我羽は怒りで体を震わせながら、一橋逸飛の方を向いた。「飛兄、このカード...まさか七男の若様が、姉さんにくれたんじゃ...」
「お姉さん、七男の若様はあなたの目上の方よ。あなたは彼の元甥の嫁なのに、目上の方と曖昧な関係を持って、その人のお金を使うなんて、良くないんじゃない?」
きっとそうに違いない!
そうでなければ、久我月がどうしてこんなカードを持っているというの?
絶対に七男の若様からもらったに違いない。
七男の若様がこんなカードまで久我月に渡したと考えると、久我羽の心は醤油樽をひっくり返したかのように苦々しかった。
久我羽だけでなく、一橋逸飛もそう考えていた。