俞晚晚は首を振って、「大丈夫よ」と言った。
彼女は心ここにあらずといった様子で、持ってきたお菓子を俞小満に渡した。
そして、ドアの外に向かい、入り口に立って小満が来た方向を見た。これらの部屋の入り口はどれも空っぽで、ドアは全て閉まっていた。
だめだ、蘇言深と明霜に子供ができたのなら、彼はもう小満を受け入れないだろう。絶対に蘇言深に小満の存在を知られてはいけない。
俞晚晚は息を飲み込み、部屋に戻ってドアを閉めた。
すぐに俞子卿に電話をかけ、小満の退院手続きをしてもらった。
俞晚晚は小満を周之旭家の明愛病院に転院させた。ちょうど周之旭も以前からそう提案していて、面倒を見られると言っていた。
明愛病院は貴族向けの私立病院で、産科と小児科が有名で、三級甲等病院以上の評価を得ている。
周之旭は小児科医で、子供に対して特に忍耐強いため、俞小満は彼と何度か会ってから特に彼のことが好きになった。
今では周之旭は暇があれば小満と遊びに来るので、俞晚晚は特に安心していた。翌日、彼女は朝早くから栄養剤を買いに行き、盧君曉を見舞いに行った。
4月末のA市はついに完全に晴れ渡り、キャンパスの朝は空気が特に新鮮に感じられた。教職員寮の西側の壁全体がツタに覆われ、緑一色だった。
俞晚晚は長袖のマキシワンピースを着ていた。シフォン生地で、とても軽やかで、長い髪を下ろしていて、優雅で魅力的だった。
足元は太めのヒールの白い革靴で、階段を上がる音が響いていた。
張維忠の家は4階にあり、彼女が上がると少し息が上がった。春節に貼った対聯はまだ新しく見え、対聯には張維忠の毛筆字が堂々と書かれていた。
彼女は手を伸ばしてドアをノックした。
誰も開けず、応答もなかった。もう一度ノックしようとしたとき、背後から中年女性の声がした。「盧先生は昨夜容態が悪化して、病院に救急搬送されたわ。家には誰もいないわ」
これを聞いて、俞晚晚は驚き、急いで振り返って尋ねた。「どの病院か知っていますか？」
彼女は緊張して中年の女性の腕をつかんだ。
「市立第一病院よ」
「ありがとうございます」
